糖質を断ち、脂質をたっぷり摂る「断糖高脂質食」。その実践者たちの間で「金森式」と呼ばれる食事法がある。提唱者は、断糖高脂質の書籍を多数執筆する作家の金森重樹氏だ。金森氏自身、わずか2か月で90kgから57kgへとダイナミックな減量を経験。Xや書籍で発信するメソッドはやがて「金森式」と呼ばれ、2月に上梓した新刊『なぜヒトは脂質で痩せるのか』は発売即重版となるほどの人気だ。
この「金森式」を8年間続ける女性がいる。さなさなさん(50代)だ。
「もともとふるさと納税の著書で知っていた金森さんが、あるときXでまるで別人のようにシュッとした顔を見せていて。断糖高脂質で大幅な減量に成功したと知り、興味を持ったんです」
そんな折、金森氏が調理アシスタントを募集する投稿が彼女の目に留まった。好機だと感じたさなさなさんは迷わず応募。断糖高脂質に基づいた料理の作り方を、直接教わりに行った。
「私自身は細身ですが、夫が肥満からの高脂血症になってしまって。夫婦でよいダイエット法を探していたタイミングだったんです。金森先生はドが付くほど理論派なので、理に適ったものなはず。何より、金森さん自身がすごく痩せたのを見たこともあって、学ぼうと思い立ちました」
1日1.5食。糖質は徹底排除!
「朝はコーヒーゼリー、日中は紅茶に生クリームを入れてロイヤルミルクティーにして飲んでいました。主食は18時前後に済ませます。メインは牛脂スープで、ステーキやしゃぶしゃぶなどの肉料理や、トロ部分の魚の刺身を食べていました。正直、お金はかかりますが、毎日の献立を考える身としてはなんてラクなんだろうと思いました」
食べられるものは限られ、調味料もぬちまーす、魚醤、アスコルビン酸の3種類だけ。続けるうちに飽きはくる。そのためにあれこれ工夫を凝らした。
「小松菜を生クリームで煮たり、高野豆腐を粉末にしてパン粉代わりにして、卵だけで泡立てたパンに肉を挟んで食べたり。おやつが食べたくなったときは、おからのクッキーを焼いたりもしました。ステーキ屋さんで外食するなど、環境を変えてみるのもよかったです」
糖質を徹底的に排除し、代わりに脂質をしっかり摂る――このシンプルなルールに、さなさなさん自身も当初は楽勝だと思っていた。だが、脂を食べるのは想像以上に辛い場面もあった。
「すき焼きで食べるときはおいしいと感じる牛脂も、割り下なしでそのまま食べようとすると、吐き気を催してしまって。ゆで卵の黄身に牛脂を吸わせたりして、体を慣らしていきました」
「入院するほどひどかった片頭痛が消えた」
「入院するほど片頭痛が酷く、強い薬が手放せない日々。寝ているときも頭を車で轢かれる悪夢にうなされるほどで、家族にも本当に迷惑をかけていました。
低血糖を解消したのはMCTオイルやサプリメントだった。
夫は付き合いなどもあって途中でフェードアウトしてしまったが、さなさなさんはその後も8年間金森式を続けている。
「私がどれほど片頭痛で苦しんできたか、家族は一番よく知っているんです。だから、食卓で私だけ違うものを食べていても、誰も嫌な顔をしません。それがどれだけ救われることか。もちろん、私は私で食事を家族に強制することもありません。息子が管理栄養士なので、家族で支え合いながら、これからも続けていきたい」
金森式が目指すのは、痩せることではなく、健康な体を取り戻すこと。
<取材・文/桜井カズキ>
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