高知県と愛媛県西部の四万十川沿いを結ぶJR四国予土線を支援するために沿線市町で構成された予土線利用促進対策協議会は、観光列車「鉄道ホビートレイン」を模したバッテリーカー2台を製作し、2026年5月2日に高知県四万十町で開催のイベントから運用を開始しました。
【スゴい完成度…】これがJR四国全面監修「最遅の新幹線」と「予土線駅名フェンス」です!(写真45枚)
「鉄道ホビートレイン」はキハ32形を改造し、初代新幹線0系を模した車両で2014年から走っています。
4月下旬、デビューに先立って行われた試験走行に同協議会アドバイザーとして務める筆者(坪内政美:スーツの鉄道カメラマン)も立ち会いました。もちろんこの日が初対面です。
ダンプトラックに載せられ会場入りし5人がかりで降ろされたバッテリーカーは2台。製作費は1両150万円で、特に車両の配色や「キハ32 3」の車両ナンバーの記載、ヘッドライト・テールライトの色彩、ロゴの表示、行先表示の行先へのJR四国の指示は、遊具といえども厳格に行われたといいます。
行先が「宇和島」「窪川」と2方向になっているのは、実際にこの表示で運用されているというのもありますが、走っているJR予土線が高知・愛媛県にまたがっており、同協議会も両県からの支援があることから、このようにされています。
製作のきっかけとなったのは、協議会が江川崎駅(四万十市)と土佐大正駅(四万十町)で実施してきたポップアート事業の一環で、とある担当者会議で出た「バッテリーカーを造って沿線のイベントでPRできないか」という一言だったといいます。
「予土線はいま存続が危ぶまれている非常に厳しい現実があります。将来を担う子どもたちでこのバッテリーカーに乗っていただくことで、本物にも乗りたいという、そんな気持ちになってくれたらいいなと思っています」。同協議会事務局を担当する四万十町役場企画課の久保田啓嗣さんは笑顔で話しました。
実際に筆者も試乗してみました。定員は2名で総重量120kgまで載せられます。
1974年から続く四万十川の「こいのぼり川渡し」が行われている四万十町市十和地区の「こいのぼり公園」で、500匹のこいのぼりが泳ぐ青空のもと、試運転と称して、はしゃぐ大人たちの声が続きました。
バッテリーカーでもしっかり「予土線の旅」ができる!? もう一つの“大作”とはなんちゃって新幹線の「鉄道ホビートレイン」のなんちゃって新幹線バッテリーカーと、もう一つ、協議会が製作したのが「予土線駅名フェンス」です。
フェンスとバッテリーカーをセットとし、沿線イベントなどで乗車会を開催し活用してゆく(坪内政美撮影)
これは、バッテリーカー運用時のバリケードとして使うものですが、何の変哲のないフェンスでは、しまんトロッコやホビートレインシリーズなど普通列車がほとんど観光車両となっている楽しい予土線らしくない!――そこで協議会が依頼したのが、高知県高知市にある福祉施設で障害のある方々がアーティストとして活動しているアートセンター画楽さんです。
76.3kmに22ある予土線の駅それぞれの名物・名所をモチーフに各駅1枚ずつのデザインを依頼したそうです。アートセンター画楽の代表で自身も現代アート作家でもある上田祐嗣さんは、製作にあたり苦労も多かったと語ります。
「協議会の方からモチーフの提示があった駅もありますし、なかった駅はこちらで探して、こんなのはどうでしょうという形で進めました。それぞれ一人一人で完結するというのはやっぱり難しいところがあったりはするんですけど、それを組み合すことによって、協議会が求めていたポップで明るい感じとか、行ってみたくなるような感じというのを作り出せたんじゃないかな」
実際には2025年暮れから描き始め、締め切りぎりぎりまで気が抜けなかったと頭を押さえます。また、今回の依頼に応えた理由として、公共交通の重要性を感じていたといいます。
「実はアートセンターにJRやとさでんの路面電車を使って通ってくる子もいるんです。
そうして完成したフェンスは総勢13人のアーティストに見送られながら予土線利用促進対策協議会へ納品されました。今後は予土線沿線をはじめ四国内での交通イベントに貸し出し、予土線への関心を高め鉄道の利用を促進するといいます。また、直近では5月下旬に予土線の近永駅(愛媛県鬼北町)前で開催される近永駅前マルシェでも設置される予定です。

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