予算は増えたけど…「5年で終わり」の可能性?
日本政府は2026年4月27日、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画からなるいわゆる「安保関連3文書」の改定に向けた有識者会議を開催しました。安保関連3文書は2022年に閣議決定されたばかりですが、安全保障環境の変化を受けて、わずか4年ほどでの改定となる見通しです。
この安保関連3文書の改定に関しては、無人装備の導入加速や弾薬の製造能力拡大、統合防空ミサイル防衛能力およびスタンド・オフ防衛能力のさらなる強化など、各種装備品や弾薬確保などにどれだけの予算が割かれるのかが注目されがちです。
しかし、こうした装備品を運用するための基盤である自衛隊施設の強靭化についても、その行方を注目すべきと筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。
自衛隊施設の強靭化とは、敵の攻撃を受けた際に自衛隊施設が受ける被害を最小限化するための取り組みです。たとえば、これまで地上にあった重要施設を地下化したり、壁の厚みを増したりするなどの措置が、改定前の3文書にはすでに明記されています。
さらに、航空自衛隊の航空基地では、駐機中の航空機を分散させて攻撃による被害を極小化するための分散パッドや航空機用掩体の設置も実施される見込みです。装備品の予算とともに、この強靭化の予算もどれだけ確保できるかが実現のカギとなります。
近年のアメリカによるイラン攻撃に際して、イラン側の反撃によりアメリカ軍の航空機が地上で撃破されるという事案が発生しています。仮に、中国とアメリカおよび日本の間で武力紛争が発生するとなれば、こうした状況が日本の自衛隊施設やアメリカ軍基地においても生じることは確実です。
従来の安保関連3文書のうち、2023年度から2028年度までの5年間の防衛力整備について規定する防衛力整備計画では、従来少額の予算に抑えられてきたこの自衛隊の施設強靭化予算が大幅に増額されたことが注目されました。
具体的には、2018(平成30)年12月に決定された中期防衛力整備計画(31中期防)では、自衛隊の施設強靭化関連予算が5年間で約1兆円と見積もられていたのに対して、これを更新した現行の防衛力整備計画では、5年間で約4兆円の予算が組まれています。
これを踏まえると、今後改定が見込まれる安保関連3文書の中でも、施設強靭化については引き続き増額が見込まれるように思われますが、実際には不透明な要素もあります。というのも、先述した現行の防衛力整備計画には、こうした施設整備について「5年間で集中して、円滑に執行していく」という文言と共に、次のような一文が盛り込まれているためです。
「本計画期間中、2023年度から2027年度までの5年間において、装備品の取得・維持整備、施設整備、研究開発、システム整備等を集中的に実施するため、その後の整備計画においては、これを適正に勘案した内容とし、2027年度の水準を基に安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めるものとする」
つまり、自衛隊の施設強靭化は5年間で集中して予算を投じるものの、その後は予算額を減少させるという意味合いが含まれていると筆者は考えます。
攻撃に耐える“カッチカチ”コンクリートとは
こうした施設強靭化のための取り組みは、自衛隊が有事に対応するための基盤を維持するために欠かすことのできないものです。どれだけ高額かつ高性能な装備品を導入しようとも、敵の攻撃によって開戦劈頭に破壊されてしまえば、何の意味もありません。
これに対し、自衛隊では有事の際に航空自衛隊の戦闘機や輸送機を全国の基地はもとより、民間空港も活用して分散配置することにより、一度の攻撃で航空戦力に甚大な被害が生じることを防ごうとしています。
とはいえ、中国や北朝鮮のミサイルによる攻撃能力は量的にも質的にも日に日に増強されており、分散配置の有効性にも限度があります。そこで、既存基地の抗堪性を増強するための施策も並行していくことが求められます。
自衛隊では航空機の保護策として、分散パッドや航空機隠蔽用施設(上空からの監視を防止するための日よけ)の整備を進めていますが、これ自体はミサイルなどから航空機を守る機能はありません。そこで、コンクリート製の航空機用掩体(バンカー)の構築を進めていく必要性が指摘されています。
近年では、誘導兵器の性能進化や貫徹能力の強化により、航空機用掩体の有効性を疑問視する声もありますが、たとえば自爆ドローンなどの攻撃を想定した場合、掩体があるとないとでは有効性が大きく変化します。
さらに、こうしたバンカーの強度を大幅に強化できる特殊なコンクリートなどの素材面も注目されています。ある海外の有識者は「バンカーバスターも防げる可能性がある」として、羽田空港D滑走路の床版にも使われた「超高性能繊維補強コンクリート(UHPFRC:Ultra High Performance Fiber Reinforced Concrete)」に言及するなどしています。
こうした事態も想定し、防衛省では現在、建設産業との結びつきを強化する動きがあります。逆に言えば、抗堪性強化のカギを握っているのが民間の建設業のノウハウと技術だと考えられているのです。
建設業界がカギ? 民間技術を防衛に活かす道
たとえば、航空機が離発着するための滑走路も有事の際には重点的な攻撃目標となります。
攻撃を受けた際の滑走路復旧作業では、重機で破片などを撤去し、次いでコンクリートプラント車などを使用して現場で製造した速乾性コンクリートを穴に流し込み、これを整地してふさぐという措置がとられます。
この際、もし敵が攻撃に使用した弾薬が不発弾として現場に残留していたとすると、有人車両を使用した作業は非常に危険です。そこで、建設現場でも活用が進む遠隔操縦可能な無人重機を活用することで、安全に復旧作業を進めることも可能となります。陸上自衛隊でも、2025年から2026年にかけてこうした遠隔操縦式の重機に関する実証試験を行っており、大きな関心を寄せています。
もし、防衛予算を投じて防衛用途に応用可能な素材や資材、無人化施工技術などを開発することが出来れば、民間の建設現場でのさらなる技術革新や需要増大による単価低減が期待されるほか、自衛隊基地のみならず、在日米軍施設の強靭化改修を通じた日米同盟のさらなる実効性強化にもつながる可能性があります。
さらに、こうした日本の建設関連技術がアピールされ、諸外国軍からの注目が集まることも考えられます。そうなれば、装備品の輸出というこれまでの枠に収まらない、新しい形での防衛関連輸出の道を開くことが出来るかもしれません。

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