近年、走りながら一瞬で理解しづらいような、大型で複雑な矢印案内標識をしばしば見かけるようになりました。高速道路はもちろん、一般道でも同様の傾向があるのはなぜでしょうか。
仙台市の国道4号「仙台バイパス」を白石方面へ走っていると、太白区の「篭の瀬」交差点の手前で大型の矢印案内標識に遭遇しました。この交差点は左折すると、仙台南部道路の長町ICに通じるのですが、標識には一般道の白矢印だけでなく、長町ICから東北道方面、仙台東部道路の「仙台港」「仙台空港」と、高速道路に乗った先の広域な線形まで、緑の矢印で模式化して表示しています。
この標識は交差点の約700m手前と、交差点手前とで2回現れるのですが、後者はご丁寧にも、さらに●と「現在地」の文字で自車の位置まで表示しています。この間で広瀬川を渡ることもありますが、複雑な位置関係を一目で認識しづらいのでしょうか。「現在地」はヨソではあまり見ない注意喚起です。
このような複雑な矢印案内は名古屋圏の高速道路のものが有名です。
たとえば、東海環状道から新東名・東名の分岐を控えた箇所では、愛知・静岡県内の新東名・東名で構成されるハシゴ状の線形を描いたうえで、静岡の御殿場JCT、さらには「東京」までを表示しています。
さらに、同様の線形で矢印案内標識だけでなく所要時間まで示した道路情報版も存在。「どちらを進んでもOK」「こちらを進んだ場合は所要何分」といったことを示し、迂回ルートの選択肢を提示する狙いがあると考えられます。ただ、SNSでは名古屋圏の矢印案内は「複雑すぎる」「初見殺し」の名古屋名物として、しばしば話題にもなります。
単純な矢印を「ぐにゃっと曲がったものに」一般道の矢印案内標識にも同様の傾向があります。たとえば都内では、アンダーパスの手前で、直進の矢印と側道へ向かう左斜め上方向の矢印を描き、単純に分岐と行先の地名のみを示していたものが、ぐにゃっと曲がるような矢印のものに改められ、線形を忠実に示すものに変わったというケースがあります。
これについて道路管理者に以前聞いたところ、ここは単純な分岐標識では、行先と実際の線形がちぐはぐになっていて分かりづらい、という利用者の声を受けて変更したと話していました。分岐部だけを案内するのではなく、アンダーパスがその先で左にカーブする線形を示し、全体の方角を標識に反映したといいます。
さらに、この分岐を側道方向に進むと、首都高の入口が2か所あるのですが、案内標識には出入口名はおろか「首都高」の文字もなく、「E6 常磐道」「E1 東名」と、首都高に乗った先の「行ける方面」を表示するようにしたと話していました。
つまり、近年の案内標識は「その場の情報」ではなく、「先々の情報」を重視するようになっているのです。しかし、こうした傾向が一部、改められてもいます。
NEXCO中日本名古屋支社は2023年、名古屋圏の高速道路における大型の図形情報板の一部を、別のものに取り替える様子をSNSで発信しています。
それまでの図形情報板は、複雑な矢印のなかで渋滞している箇所を光らせて表示するものでしたが、代わりに設置されたのは、その場所から「名神ルートで何分」「東名ルートで何分」という情報だけを文字と数字主体で示す「経路選択情報板」でした。
これについて同支社は、その先のどこが混雑しているのかということよりも、「所要時間に関するニーズが高い」とし、「最短ルートが一目でわかる」経路選択情報板に改善したとアピールしていました。これはあくまで、図形情報板の置き換えであって、複雑な矢印による方面案内標識は残ってはいるものの、情報提供のあり方は見直しが図られているようです。

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