ディーラーから下請けの工場へ整備委託「移送費は誰が払うの?」

 公正取引委員会は2026年6月4日、茨城県で「Honda Cars茨城南」を展開する「ホンダ茨城南」(磯山良輔社長)に対して下請法(現取引適正化法)に基づく行政処分「勧告」を行いました。

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 ホンダ茨城南は、県下で17店舗を展開するホンダの正規販売店です。

ホンダ茨城南と取り引きする15の事業者に対して、委託した板金塗装や点検整備で発生する販売店舗と受託事業者の整備工場との運送について、費用を支払わなかったことが「不当な経済上の利益の提供要請」と判断されました。

 公取委が指摘した不払いの対象は、2024年9月~2025年9月までの13か月間、1014台分の費用です。事業者と合意の上で公取委の確認を受けて「速やかに支払うこと」「違反行為を取締役会で認めること」「中小企業事業者の利益を不当に害することのないよう法律の研修を行うなど社内体制の必要な措置を講ずること」を公取委は求めています。

 勧告後に同社のウェブサイトでは、磯山良輔社長名でコメントが発表されました。

《本勧告により、お取引先様、ご愛顧いただいているお客様にご心配やご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます》

 また、同社の顧客に対しては、次のように説明しています。

《本勧告は当社とお取引先様との取引条件に関するものであり、お客様よりご依頼いただいた鈑金修理等の品質・安全性に問題はございません》

 自動車販売会社(自動車ディーラー)と整備事業者の不適切な関係は、たびたび指摘されていました。2025年12月、公取委と中小企業庁は「自動車ディーラー及び車体整備事業者間の取引における下請法違反被疑事件の集中調査」の結果を公表しています。

 発生する5つの違反行為を例示し、その中に今回の「不当な経済上の利益の提供要請について」も指摘しています。たとえば「修理対象となる自動車の車体整備事業者の工場等への引取りを車体整備事業者に無償で行わせていた事例が複数あった」などです。

 しかし、その後も公取委による勧告が続きました。2026年2月24日には、それまでに勧告を受けた「日産東京販売」「福岡ダイハツ販売」「スズキ自販大分」の事例を挙げて違反する行為の是正及び未然防止に努めるよう一般社団法人「日本自動車販売協会連合会」(髙田靖久会長・ホンダカーズ札幌中央社長)に対して要請しました。

うやむやだった「商習慣」は是正に向かっている

 下請法は2026年1月から新しく「取引適正化法」として施行されています。

ホンダ茨城南が指摘された「不当な経済上の利益の提供要請」は、取適法においても違法行為として規定されています。

ディーラーから整備工場への「車両の移送費を支払いなさい」公取委が勧告 長年の「商習慣」にメス 変わり始めた業界
公正取引委員会(中島みなみ撮影)

「不当な経済上の利益の提供要請」は「商慣習である」と正当化されてきた現実があります。しかし、業界では下請法時代の違法行為は過去のものであり、是正に向けて方針転換が進んでいる、という認識です。

 ホンダカーズ茨城南では、公取委の認定した2025年9月以降も同様の行為が続いていましたが、これについては「公取委から支払いをとめられていたため」(同社担当者)と回答しています。

 公取委の勧告は、これが最後となるのか。前述の2月24日の文書で、公取委はこう締めくくっています。

《自動車ディーラーと車体整備事業者との間の取引の適正化に向けて、取適法の規定に違反する又は違反するおそれのある行為について、迅速かつ厳正に対処します》

【業界の商習慣?】これが公取委の指摘した「違法行為」です(画像で見る)

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