営業列車が赤坂見附の連絡線を通過

 通常は直通運転を行わない東京メトロ銀座線と丸の内線。この2路線を直通し、上野車両基地と中野車両基地を結ぶイベント列車「夢の冒険列車 ルート銀丸」が、2026年5月30日(土)に1日限定で運行されました。

実際に乗車して体験してきました。

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 この列車は、現役の銀座線乗務員が中心となって企画した特別列車です。ツアー参加者を対象とした団体臨時列車として運行され、料金は1人あたり2万5000円。1両を丸ごと貸切にできるプラン(1組限定)は15万円でした。

 銀座線と丸ノ内線の車両はパンタグラフがなく、線路に並行して敷かれた3本目のレールから電気を得るサードレール方式(第三軌条方式)を採用しています。両線の路幅や電圧は同じですが、車体は丸ノ内線の方が一回り大きく、丸ノ内線の車両は銀座線を走行できません。逆に銀座線の車両が丸ノ内線を走ることは可能です。

 銀座線の車両は、丸ノ内線の中野富士見町駅近くにある中野車両基地で大規模なメンテナンスを行うため、定期的に回送列車として丸ノ内線に入線します。銀座線の車両基地は手狭で、重要な検査を行う工場設備がないためです。

 赤坂見附駅の手前(溜池山王・国会議事堂方)には、銀座線から丸ノ内線へ入る連絡線が設置されており、両線を行き来する列車はこの線路を経由します。今回のイベント列車は、銀座線~丸ノ内線の回送列車のダイヤを一部活用し、実現させたそうです。

 1992年~1999年には隅田川花火大会の開催時、丸ノ内線から銀座線に直通する「花火ライナー」が運転されたことがありますが、久しぶりに営業列車が赤坂見附の連絡線を通過した形となります。

 イベント列車に使用されたのは、40編成が存在する銀座線1000系の中でも、2編成しか存在しない「特別仕様車」と呼ばれる編成です。

 特別仕様車は通常の1000系と比べると、前灯が1灯式に変更されているほか、塗装が異なるなどの相違点があります。外装だけでなく、内装も銀座線開業当時の旧1000形を想起させる仕様となっています。手すりや握り棒が真鍮色となり、吊り手の形が涙滴型の「リコ式」風となっていることも特徴です。さらに、車内には予備灯まで設置されています。

上野車両基地の「地下部」にも入線

 先述のように銀座線は線路から電気を得るため、旧1000形ではサードレールが途切れる分岐器付近などで車内の電気が消え、予備灯が点灯していました。今回のイベント列車は、特別に予備灯を点灯させる状況が再現されました。

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1000系の特別仕様車に設置されている予備灯。今回のイベント列車では予備灯を点灯させる状況が再現された(画像:乗りものニュース編集部撮影)

 今回のイベント列車が実現に至った発端は、乗務員の「せっかくレトロな車両があるのに、使わないのはもったいない」という思いだったそうです。

 列車の出発地となった上野車両基地は、地上部と地下部の2層構造となっています。ツアー参加者は地上部から列車に乗り込みました。発車すると、地下鉄の踏切としては日本唯一の踏切を通過し、上野車両基地の地下部に入線しました。

 この踏切は、道路の通行を止める遮断機があるのは一般的な踏切と同様ですが、列車が走らない時は線路側にも鉄の柵が下ろされ、人が容易に立ち入れないようになっています。

 上野車両基地の地下部を出ると、今度は上野駅で方向を変えて浅草方面へ向かい、2024年度から供用が開始された浅草駅留置線に入線しました。ここで折り返し、駅を通過しながら渋谷方面へ向かっていきます。

 車内ではワゴンカートによるグッズ販売が実施されたほか、かつて存在した万世橋駅付近では、乗客が跡地を見られるように徐行運転も行われました。一部区間では車内が完全に消灯され、非日常体験を楽しむことができました。

 列車は赤坂見附の連絡線を通って丸ノ内線に入り、各駅で列車を待っている乗客の注目を集めながら、中野車両基地まで走行。中野車両基地では、教習用として保存されている先代の01系とツアーで使用された1000系を並べた撮影会が開催されました。

 東京メトロの担当者は「銀座線だけでなく、他路線でも今回のような企画を展開していければ」と力を込めます。ツアー参加者は、特別な運行ルートや非日常感たっぷりの演出に満足していた様子でした。

【画像】これが銀座線→丸ノ内線直通列車で実現した「ワゴンカートの車内販売」です

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