5月2日、阪神競馬場でGⅠ天皇賞・春(芝3200m)が行なわれる。

 このレースは通常、京都競馬場で開催されるが、今年は京都競馬場の改修工事の影響で、1994年以来27年ぶりに阪神競馬場で行なわれる。

1週目は外回り、2週目は内回りという珍しいコース設定になっているが、「右回りの芝3200m」という条件は例年と変わらないので、あまり深く考えすぎずに取り組みたい。ちなみに27年前の天皇賞・春は、1番人気ビワハヤヒデが1着、2番人気ナリタタイシンが2着、3番人気ムッシュシェクルが3着と、上位3頭は人気どおりに収まった。

 芝3200mという条件で、圧倒的な好成績を残している種牡馬はステイゴールドだ。天皇賞・春でも4勝という数字を残している。その父サンデーサイレンス産駒も同レースで4勝を挙げているが、サンデーサイレンスの49戦に対し、ステイゴールドは22戦でこの数字をマーク。勝率18.2%と、サンデーサイレンスの8.2%を大きく上回る。


 今年はステイゴールド産駒の登録はないが、その後継種牡馬オルフェーヴルの産駒がオセアグレイト(牡5歳/美浦・菊川正達厩舎)、オーソリティ(牡4歳/美浦・木村哲也厩舎)、メロディーレーン(牝5歳/栗東・森田直行厩舎)と3頭登録している。

天皇賞・春の注目はオルフェーヴル産駒の2頭。長距離適性の高さ...の画像はこちら >>

昨年11月のアルゼンチン共和国杯で重賞2勝目を挙げたオーソリティ

 オルフェーヴル産駒の芝3200m成績は、3戦して3着1回。昨年は、メロディーレーンが天皇賞・春に出走して11着と実績は乏しいが、オルフェーヴル産駒の長距離適性の高さは明らかだ。2000mまでの勝率が約8.5%なのに対し、2100m以上は11.7%、2500m以上に絞ると13.7%と、徐々に数値が上昇。今後、芝3200mの条件でも実績を重ねていくだろう。

 先に挙げた3頭の中では、オーソリティにもっとも魅力を感じる。
同馬はこれまで、GⅡ青葉賞(東京/芝2400m)、GⅡアルゼンチン共和国杯(東京/芝2500m)と重賞2勝。青葉賞の勝ち馬の中には天皇賞・春を連覇したフェノーメノ、アルゼンチン共和国杯の勝ち馬の中にも2008年の勝ち馬のアドマイヤジュピタや、2着2回、3着1回のシュヴァルグランがいる。天皇賞・春と関連性の高い2つのレースを制しているのは好材料だ。

 前走のGⅢダイヤモンドS(東京/芝3400m)はクビ差の2着に敗れたが、スタートからスッと3~5番手の好位につけ、直線でも反応よく抜け出した。ハンデ戦で、勝ったグロンディオーズより2kg重い56kgの斤量を背負いながら、3着に5馬身差をつけたことを考えると勝ちに等しい内容だった。

 あらためて血統も見てみよう。

クラシック三冠馬の父オルフェーヴルは、3000m超のレースはGⅠ菊花賞の1勝で、逸走して大敗ムードがあったGⅡ阪神大賞典(阪神/芝3000m)で2着に入っている。天皇賞・春は1番人気に押されながら11着と大敗したが、前述のとおり産駒の長距離適性は間違いないため、父の無念を晴らしてほしいものだ。

 母の父シンボリクリスエスは、菊花賞馬エピファネイア、GⅢダイヤモンドSのモンテクリスエスを出すなど長距離適性の高い種牡馬で、母の父としても障害王者オジュウチョウサンを出している。オジュウチョウサンはステイゴールド産駒なので、オーソリティと血統構成がよく似ている。

 祖母の父スペシャルウィークは1999年の天皇賞・春の勝ち馬。さらに3代母の父は、欧州で中長距離大レースの勝ち馬を多く出している、大種牡馬サドラーズウェルズ。
かなり長距離寄りの配合となっており、今回のレースで真価を発揮する可能性は高い。牝系も、祖母シーザリオはGⅠオークス勝ち馬で、おじに菊花賞馬エピファネイア、皐月賞サートゥルナーリア、最優秀2歳牡馬リオンディーズがいるなど超一流だ。

 一方で、オセアグレイトも軽視はできない。前走のGⅡ日経賞(中山/芝2500m)は6着に敗れているが、昨年のGⅡステイヤーズS(中山/芝3600m)を勝った時も前走のGⅡアルゼンチン共和国杯は11着と大敗しており、前走成績は気にする必要がないタイプだ。

 3000m以上のレースは昨年のGⅢダイヤモンドSで2着に入っているように、2戦1勝、2着1回と崩れていない。陣営はステイヤーズS勝利以降、「最大目標は天皇賞・春」と公言しており、このレースにピークを持ってくるはずだ。



 鞍上の横山典弘騎手は1996年サクラローレル、2004年イングランディーレ、2015年ゴールドシップと同レース3勝。イングランディーレは10番人気での激走と、長距離戦では頼もしい存在だ。オセアグレイトとはステイヤーズSから4戦目のコンビとなり、陣営とともに、このレースで勝つことをイメージしながら騎乗してきただろう。

 以上、今年の天皇賞・春は、オルフェーヴル産駒の2頭に期待する。