12月11日、阪神競馬場で2歳牝馬によるGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)が行なわれる。

 昨年の勝ち馬サークルオブライフはそのレース以降に勝利がないものの、2020年の勝ち馬ソダシはGⅠ桜花賞、GⅠヴィクトリアマイルを勝利。

2017年の勝ち馬ラッキーライラックもGⅠ大阪杯、GⅠエリザベス女王杯(2回)を勝つなど、勝ち馬が後のGⅠでも活躍することが多い。

 このレースを血統的視点から分析していきたい。昨年に勝利したサークルオブライフもエピファネイア産駒だが、同産駒は今年の2歳戦が快調ですでに32勝。7開催日を残して、エピファネイア産駒の2歳戦の年間最多勝利数を更新している。重賞勝ちこそないが、チャンスザローゼスがアイビーSを勝ち、先週はミッキーカプチーノが葉牡丹賞を3馬身半差で圧勝。次々とクラシック候補を送り出している。


 エピファネイア産駒といえば、サンデーサイレンスのクロスで成功しているのが特徴のひとつ。GⅠホースのエフフォーリア、デアリングタクト、サークルオブライフはすべてサンデーサイレンス4×3のクロスを持っている。今年の4頭の登録馬の中でも3頭がこのクロスを持っているが、中でも筆者が推したいのがモリアーナ(牝2歳、美浦・武藤善則厩舎)だ。

阪神JFは2歳戦に強いエピファネイア産駒から、3連勝を狙う「...の画像はこちら >>

デビューから2連勝中のモリアーナ

 同馬は6月5日、東京の新馬戦(芝1600m)を好位から差して3馬身差で圧勝。上がり3Fは33秒0という圧巻の瞬発力で、ゴール前では手綱を抑える余裕もあった。続く前走のコスモス賞(札幌・芝1800m)は2番手追走から4角で先頭に立つ早めの競馬で、2着に2馬身差をつける完勝だった。


 新馬戦で見せたように非凡な瞬発力が最大の武器だが、直線が短い札幌で行なわれたコスモス賞では早めの競馬を試みて勝利。理想の形ではなかったが、それでも器用さと力の違いを感じさせた。今回はほかに先行馬もおり、中団~後方待機から鮮やかな末脚を発揮してくれるはずだ。

 母の父ダイワメジャーは種牡馬として、2015年メジャーエンブレム、2019年レシステンシアと阪神JFの勝ち馬を2頭出している。モリアーナはその2頭が母系に持っているダンチヒを、祖母の父グランドロッジ(父の父がダンチヒ)経由で持っている。さらに、同じく2頭が持つサドラーズウェルズを父エピファネイアの祖母の父に持っているように、過去のダイワメジャー産駒の勝ち馬と共通の血統構成となっているのだ。



 さらに牝系を遡ると5代母は名牝ハイクレアで、ディープインパクトや、今年の欧州の年度代表馬バーイードと同じファミリーになる。ハイクレアは、今年に亡くなった英国のエリザベス女王が所有した馬。バーイードの活躍などもあって「旬の牝系」と言えるだけに、モリアーナの3連勝での戴冠に期待する。

 もう1頭はアロマデローサ(牝2歳、栗東・池添学厩舎)に注目。2歳戦で実績があるキンシャサノキセキ産駒で、今年のGⅠ秋華賞を勝ったスタニングローズとは曽祖母ロゼカラーが共通する「はとこ」になる。

 同牝系には、GⅠ朝日杯フューチュリティSを勝った最優秀2歳牡馬ローズキングダムもいて、キンシャサノキセキと同じく2歳戦の実績がある。
また、前述のエピファネイア産駒チャンスザローゼスとは「母のいとこ」という関係で、こちらも「旬の牝系」と断言していい。

 新馬戦(小倉・芝1200m)、ききょうS(中京・芝1400m)と連勝したが、1番人気に推された前走のGⅢファンタジーSは10着。ただ、勝負どころで挟まれたり前をカットされたりした影響でスムーズさに欠けたところもあっただけに、見直してみてもいいだろう。

 以上、今年の阪神ジュベナイルフィリーズはモリアーナ、アロマデローサの2頭に期待する。