この記事をまとめると
■トヨタ、マツダ、スバルが「マルチパスウェイ・ワークショップ」を共同主催した■発表会では3社とも「我々はこれからもエンジンを作り続ける」という意見で一致していた
■EV最優先ではなくエンジンのポテンシャルを最大限に生かしたマルチパスウェイを進めていく姿勢が理解できた
さまざまなパワートレインでCO2排出量を削減するのが重要
いったい、これからどんな話が始まるのか?
5月末、都内で行われたトヨタ、マツダ、スバルが共同主催した「マルチパスウェイ・ワークショップ」開始直前のメディア関係者の気もちである。
マルチパスウェイといえば、トヨタが常日頃から使っている表現。ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車、水素燃料車など、さまざまなパワートレインを駆使してトータルでCO2排出量を減らすことがカーボンニュートラル実現に向けた現実解だ、という考え方だ。
また、業界団体の日本自動車工業会でも、日本の自動車産業界の総意としてマルチパスウェイの推進を表明している。そうしたなか、マツダとスバルもこのタイミングでマルチパスウェイを強調する理由はなにか? ユーザーもメディアも大いに気になるところだ。
実際、マルチパスウェイ・ワークショップでは、「我々はこれからもエンジンを作り続ける」という意見が3社で一致していた。

欧州で政治的な思惑などによって一気に加速したEVシフトはいま、修正の局面を迎えており、そうしたなかでカーボンニュートラル燃料を活用した新たなエンジン開発に、3社それぞれの視点で着手していることがわかった。
エンジンを用いた未来のパワートレインが現実味を帯びてきた
順に見ていくと、トヨタの場合、排気量1.5リッターと2リッターガソリンターボエンジンを新開発した。従来エンジンに比べて、よりコンパクトにした。欧州の次期環境規制であるEURO7など、今後より厳しさを増すグローバルの排気ガス規制に対応するには、電動化の分野だけではなく、エンジン型の抜本的な設計変更が必須だという。

続いてマツダは、ロータリーエンジンの新しいパッケージングを披露した。「MX-30 R-EV」で量産した、「8C」を使い、よりコンパクトにした横置きパッケージと、スポーツカーなどへの搭載も視野に入れた縦置き2ローターパッケージにメディアの関心が集中した。

そしてスバルは、水平対向エンジンにトヨタハイブリッドシステム(THS)を応用した機構を合体させたモデルを公開。プロペラシャフトを残したフルタイム四駆とすることで、スバルらしい走り味を継承する。

また、既存の水平対向エンジンに対してもカーボンニュートラル燃料の使用が可能になるような研究開発を進めていることも合わせて明らかにした。

EV最優先ではなく、トヨタ、マツダ、スバルはエンジンのポテンシャルを最大限に生かしたマルチパスウェイを今後も着実に進めていくことが、今回の現場取材でしっかりと理解できた。