カスハラは「要求実現のための手段が社会通念上不相当なもので労働者の就業環境が害されるもの(厚労省)」と定義されるが、鉄道の現場ではこのようなトラブルが起きがちだ。
現場で理不尽な目にあったという声はいくらでも聞くが、つい最近まで、鉄道事業者の対策は駅員や乗務員への「暴力行為」防止が中心だった。
ようやく鉄道職員へのカスハラの実態把握と対策が始まったのは2020年代のことだ。
日本民営鉄道協会(民鉄協)は2023年12月に「直接暴力を伴わない、必要以上の大声でのクレーム、威嚇や脅迫、人格を否定するような発言」などが増加しているとして、「民営鉄道業界におけるカスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定。各事業者も対応方針を定めた。
そしてこの度、JRグループと民鉄協加盟社は4月17日から共同で、初のカスハラ行為防止キャンペーンを開始した。
現場では実際にどのようなカスハラが起きているのか。カスハラ行為は、法的にはどのような罪に問われる可能性があるのか。国土交通省とJR東日本の資料に記載されたカスハラの事例を参考に、鉄道に詳しい小島好己弁護士の見解を聞いてみよう。(鉄道ジャーナリスト・枝久保達也)
座席券確認時に“高圧的な態度&暴言”
まずは車内におけるトラブルだ。JR東日本の普通列車グリーン車において、使用済みグリーン券で乗車している旅客を普通車に案内したところ、高圧的な態度で乗務員室のドアを蹴るなどの行為に及んだという事例だ。特急列車の車内検札時に未発売の座席に着席している旅客に特急券の確認を求めたところ、「俺が持ってたら、どうするんだよ!」と怒鳴られたという類似の事例もある。
その際旅客は、別の座席の特急券を所持していたが、「お前、俺が特急券持っていないと思っていただろう!死ね!二度と利用しない!」との暴言を吐かれたという。
小島弁護士は、「暴力行為が犯罪なのは言うまでもないが、直接的な暴行・脅迫がなくとも、“威嚇行為”や“暴言”など、相手を威圧して業務を妨害する行為は『威力業務妨害罪(刑法234条)(※1)』に該当すると指摘する。
業務を妨害しなくても、「文句」が「脅迫(生命、身体、自由、名誉、財産に対する害悪の告知)」に当たれば、「脅迫罪(刑法第222条1項)(※2)」に該当する。
※1 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
※2 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
2時間も謝罪要求「お前のメンタルぶっ壊してやる」
次に紹介するのは、改札口で駅員が誤った案内をしてしまったことに起因して、旅客から謝罪要求を2時間にわたり執拗に受け、さらに「お前のメンタルぶっ壊してやる」などの暴言を吐かれたという事例だ。誤案内で迷惑したことに謝罪を求める気持ちは分かるが、これはあまりに過剰だ。謝罪などの要求は、どの程度から不当なカスハラになるのだろうか。
小島弁護士は、迷惑を受けたことを謝らせるという目的が正当なものだったとしても、社会通念上「申し訳ない」という言葉がひと言あれば十分と指摘する。
それを、謝っているのにいつまでも文句を続け、何度も謝罪を求めたり、土下座を要求したりした場合は、「社会通念上不相当」な「執拗で過剰な謝罪要求による就業環境破壊」にあたり、カスハラの要件を満たすという。
加えて「メンタルをぶっ壊す」といった言動は、人の身体に対する害悪の告知になり得るため、脅迫罪に該当し得る。
暴言に関しては、最終列車で目的地を乗り過ごした乗客から、「どうすればいいのか、タクシー代金を調べろ」と強い口調で詰め寄られたという事例もある。これは本人の責任であり、駅員は何も悪くないのだが、調べている間も「まだか」「遅い」「使えん奴やのー」と圧力を続け、年齢や出身地、友人の有無などを聞かれ、侮辱されたという。
「デブ!」「ハゲ!」「ブス!」「安月給!」「能なし!」など、職業やその人の体形や顔についての嘲笑など、名誉感情を害する人格否定的な言葉があれば、「侮辱罪(刑法231条)」に該当する可能性がある。
「莫大なフォロワーがいる私のSNSに載せる」
この他、切符の変更・払い戻しを希望した旅客が、変更内容を復唱した駅員に立腹し、「対応が遅い、子供がぐずった、莫大なフォロワーがいる私のSNSに載せる」と言ったという事例もある。このケースにおいて実際にSNSに投稿がなされたのかは定かではないが、具体的な事例を挙げて駅員や乗務員を非難する“晒し投稿”は実際に見かける。
小島弁護士によれば、「理由なく係員の写真をSNSに投稿すればその係員の肖像権を侵害し、名前や属性など個人の特定が可能な情報を投稿すればプライバシー権の侵害になる」という。
また肖像権侵害行為やプライバシー権侵害行為の際に、当該係員の社会的評価を低下させる行為があれば名誉毀損罪(刑法230条)に該当する可能性があるだろう。たとえ刑法上の犯罪に当たらなくても、民事上の責任として‟晒し”をした側が損害賠償請求される可能性もある。
駅員の対応に不服があればSNSではなく鉄道会社に言うべきであり、仮にSNSで問題提起をするという目的があったとしても、個々の駅員の写真を晒したり名前を晒したりする必要は全くなく、他の表現方法で問題提起をすることは十分可能なはずだ。
小田急電鉄は4月16日から、カスハラ対策として全70駅にウェアラブルカメラを導入し、駅構内の巡回やカスハラ、トラブル対応の記録に活用する。今後はこうしたハード面の対策も広がっていくだろう。読者の多くはトラブルの当事者になることはないと思うが、もし頭に血がのぼるような出来事があっても、一歩立ち止まって考える余裕を持っていてほしい。
■枝久保達也
1982年、埼玉県生まれ。東京メトロで広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして活動する傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心に鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。

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