リコー<7752>が、オフィスプリンティング(複合機やプリンターの製造・販売・保守事業)から、「デジタルサービスの会社(業務プロセスの変革を支える会社)」への変革を進めている。
同社は祖業の感光紙から出発し、光学機器、複写機、プリンターへと主力事業を広げ、いま再び事業構造の転換局面にある。
これまでの事業構造の見直しを支えてきたのはM&Aで、今後も重要な役割を担う見通しだ。どのようなM&Aを実施し、今後どのようなM&Aに取り組むのか。
OA機器メーカーとして成長してきたリコーの、これまでの歩みと今後の戦略を追う。
オフィスプリンティング事業の売上高が想定以上に減少
リコーは現在の課題として、コロナ禍後のリモートワークをはじめとする新しい働き方が定着し、複合機やプリンターなどのオフィスプリンティング事業の売上高が想定以上に減少していることを挙げる。
このため、減収を補うことを狙いに、オフィスサービス領域でサービス提供地域の拡大によるシナジー創出に取り組んできた。
もっとも、オフィスサービスの成長スピードは十分とはいえず、売上高も期待した水準に届いていないという。同社ではこうした現状も課題として認識している。
今後は、オフィスサービスで付加価値の高いストック契約(売り切りではなく継続収益を生む契約)の増加に取り組むほか、SaaS(インターネット経由でソフトウエアを利用できるサービス)型ビジネスの拡大や事業ポートフォリオ(事業構成)の見直しを進める方針だ。
リコーがいうデジタルサービスとは、業務プロセスの自動化や、働く場でのコミュニケーションやコラボレーションの支援、IT基盤の提供を通じて、働く人の創造力の発揮を支えるサービスを指す。
同社では事業セグメント(部門)としてデジタルサービス部門を設けているが、「デジタルサービスの会社」への変革の中で目指すデジタルサービスは、デジタルサービス部門だけでなく、すべてのセグメントの事業内容に含まれているとしている。
具体的には業務プロセスの最適化とAI(人工知能)・データ活用で、生産性の向上と創造力の発揮を支援する「プロセスオートメーション」や、場所を問わない円滑なコミュニケーション環境と協働の場を提供し、創造力の発揮を支える「ワークプレイスエクスペリエンス」、情報通信、セキュリティ、データ管理の基盤を構築する「ITサービス」で構成する。
こうしたデジタルサービスの拡大が、同社の事業構造の転換を支えることになる。
事業構造の転換に影響を与えるM&Aに関しては、2022年3月期から2026年3月期の5年間に2600億円超を投資した。
同社が2025年9月に公表した統合報告書では「デジタルサービスの会社」への変革に向け「M&A投資など、企業価値最大化に向けた成長投資を継続する」としており、今後もM&A投資を続ける方針を示している。
PFUが事業領域を広げる
リコーは、理化学研究所の研究成果を事業化するために設立された理化学興業から独立した企業で、1936年に感光紙事業を営む理研感光紙としてスタートした。
1938年に社名を理研光学工業に変更し、光学機器の製造販売を開始。1955年、小型卓上複写機の製造販売を皮切りに、事務機器分野へ進出した。
感光紙を原点としながら、光学機器、複写機へと事業の重心を移してきたことが分かる。
この成長過程で取り組んだのがM&Aで、初期はOA機器の販売網拡大での活用が目立つ。
1995年に米国のOA機器販売会社のSAVIN CORPORATION(サビン・コーポレーション)を買収し、同年には英国のOA機器販売会社のGESTETNER HOLDINGS PLC(ゲステットナー・ホールディングス)を買収。
その後も1999年に香港のOA機器販売会社のINCHCAPE NRG LTD.(インチケープNRG)を、2001年に米国のOA機器販売会社のLANIER WORLDWIDE, INC.(ラニエ・ワールドワイド)を買収し、2007年にはDanka Business Systems PLC(ダンカ・ビジネス・システムズ)の欧州でのOA機器の販売・サービス網を譲り受けた。
さらに2008年には米国のオフィス機器販売会社のIKON Office Solutions, Inc.(アイコン・オフィス・ソリューションズ)を傘下に収めた。
これらの案件からは、複写機やプリンターなどのオフィス機器事業をグローバルで販売・保守する体制をM&Aで拡大してきた流れが読み取れる。
現在のデジタルサービス事業の基盤には、こうした販売・サービス網の積み上げがある。
最近の重要なM&Aとして注目されるのは、2022年に実施した富士通傘下でスキャナー大手のPFUの買収だ。
PFUは文書の電子化を支えるハードウエア・ソフトウエア関連の技術や業務課題解決に関するノウハウを強みとしており、クラウド構築・運用などのITマネジメントサービスや、産業用コンピューターボードなども手がける。
複合機やプリンターが中心だった事業に、スキャナーやITインフラ構築の機能を取り込み、デジタルサービスの厚みを増した案件といえる。
2024年に実施した先進的なAI技術を持つドイツのスタートアップnatif.ai(ネイティブ・ドットエーアイ)の子会社化は、業務プロセスの最適化や、AIやデータを活用する「プロセスオートメーション」分野の案件となる。
祖業の感光紙事業で培った技術は、現在はサーマル事業に受け継がれており、サーマルペーパーや熱転写リボンの製造販売を行う事業として全売上高の3%超を占めている。
過去の買収からは、感光紙を原点とする事業をサーマル事業として残しながら、複合機やプリンターを中心とした事業に、スキャナーやIT、AI関連の機能を加え、事業構造の転換を進めてきたことがうかがえる。
一方、リコーの事業構成の変化は、買収だけでなく売却でも進んだ。
2018年に電子デバイス製品を開発・販売するリコー電子デバイスを日清紡ホールディングスに譲渡したほか、同年に運輸・倉庫業のリコーロジスティクスもSBSホールディングスに売却した。
さらに2026年には、資産効率向上の一環として、中国子会社の理光(深圳)工业发展有限公司を現地社に譲渡した。
必要な領域は買収で補い、非中核分野は切り出す。現在の事業構成は、この両面の動きの上に成り立っている。
業績予想を上方修正
リコーは、これまで培ってきた世界140万社に達する顧客基盤や、グローバルで均質なサービスを提供する顧客接点、独自のデバイス(機器)やソフトウエアなどの自社IP(知的財産)を強みと分析しており、これらの強みを活かした事業を展開する。
現在は、複合機やプリンターなどの販売・保守、業務改善や働き方改革支援などを手がけるデジタルサービス部門が、全売上高の76.4%を占める主力事業となっている。
このほかに商用印刷や産業印刷のグラフィックコミュニケーションズが同11.6%、複合機、プリンター、スキャナーなどの開発・生産を担うデジタルプロダクツが6.2%と続く。
さらにサーマル事業や光学・画像処理技術を活用した産業設備などのインダストリアルソリューションズが4.4%、デジタルカメラや、環境・ヘルスケアなどのその他が1.4%という事業構成になっている。
2026年3月期は、デジタルサービス事業の強化に向けた取り組みや、円安が想定以上に進行したことなどから、売上高、利益とも伸びたため、2026年2月に業績予想を上方修正した。
売上高は当初予想より400億円多い2兆6000億円(前年度比2.9%増)に、営業利益は同100億円多い900億円(同41.0%増)に引き上げた。
オフィスサービスの成長スピードが十分でないという課題に対し、M&Aを通じた補完がどこまで進むかが、今後の業績を左右しそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
【参加無料 Webセミナーご案内】
株高、インフレ、イラン情勢…、M&Aに影響は?
4月27日開催「データで紐解く 今後のM&A予測」
セミナー概要・申込みはここをクリック
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
