OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!
翼和希 (撮影:永石勝 )

今年も新橋演舞場にOSK「レビュー 春のおどり」がやってくる。1926年大阪松竹座で上演して以来、今年で100周年を迎える伝統あるレビューだ。

4月10日から19日までの京都・南座公演を経て、30日からは新橋演舞場公演が開幕する。トップスター就任2年目の翼和希さんが、「春のおどり」にかける意気込みとこだわりをたっぷりと語ってくれた。



100周年の節目に挑む“新しいロミオ”への体当たり

――今回は大阪松竹座ではなく南座公演からスタートした「春のおどり」ですが、南座のお客様の反応はいかがでしたか。



 まず驚いたのは、京都ということで海外からのお客様が大勢いらしていたことです。大阪ではあまり見たことのない景色でしたね。また先斗町さんが総見をしてくださいまして、桟敷席が舞妓さんや芸妓さん達でそれはもう華やかでした。やはりこれは京都ならではなのかなと。「都をどり」などお忙しい時期だと思うのに、芸事ということでこうやってつながってくださるのもうれしかったですね。



OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『たまきはる 命の雫』南座公演より (c)松竹

――第一部はミュージカル『たまきはる 命の雫』。『ロミオとジュリエット』を古代ヤマト時代へ移したオリジナル作品です。



 26年前に上演された作品ですが、(作・演出の)北林佐和子先生からは「新作と思って取り組んでほしい」と。シェイクスピアならではの言葉の美しさはそのままに、OSKらしさを取り入れてくださっていて。そんな作品に挑めることが幸せです。

今年で14年目になる自分自身の男役像というものをいったん置いておいて、新しい気持ちでロミオに体当たりしました。



――オープニングがまず華やかに始まります。



 この一幕、私大好きなんです。まっ暗な中、「よーいやさ~!」でチョンパで明るくなり幕が開きます。OSK「春のおどり」上演100周年を寿ぐところから始まるこの導入部、ミュージカルかと思ったらレビューのような場面で始まるという。そこからお客様には一気に『たまきはる』の世界に入っていただきます。



――翼さんのロミオ、千咲えみさんのジュリエットが初々しく、少年らしさ、少女らしさが素敵でした。



 最初に読み合わせをしたときは、「17歳、18歳くらいかな」と千咲と話していたんです。そうしたら先生から、いやいやもっと若い13歳と15歳のカップルだと。ただ「好きだ」という気持ちだけで突っ走ってしまう、まっすぐで青くて柔らかい、分別のまるでない子供だからこその悲劇なんですね。楽曲もあえてキーを高く作ってくださったそうです。やはり若さを出すためなのかと腑に落ちました。



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『たまきはる 命の雫』新橋演舞場公演より (c)松竹
OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『たまきはる 命の雫』新橋演舞場公演より (c)松竹

――あの有名なバルコニーの場面が、まっ赤な欄干のセットとして表現されていて印象的でした。



 お稽古場では平面でずっと稽古しますから千咲と同じ目線だったのですが、舞台稽古で初めてあのセットで千咲を見上げて台詞を言ってみたらもうキュンキュンしちゃって(笑)。欄干に手を伸ばしてジュリエットのところに行きたい気持ちが自然に湧いてきて、「わあ、私、ロミオだ!」って興奮しました。舞台ってやはり総合芸術だなとも思いましたね。



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『たまきはる 命の雫』新橋演舞場公演より (c)松竹

――ロミオの親友のマキューシオとの関係も切ないです。



 ロミオに恋心を抱いているマキューシオというのも今の時代ならではかもしれません。26年前の初演のときは娘役さんが男装した女性として演じたそうです。あの役はいいですよね、私もやってみたい(笑)。でも、ロミオは彼が自分に恋心を抱いていたことに気づいていないかもしれない。ロミオの子供っぽさはそんなところにも表れています。



――そして翼さん、千咲さんおふたりのデュエットダンスです。



 歌劇ならではですね。

ストレートプレイならふたりとも死んでおしまいのところ、歌劇なら天国では結ばれる。幸せ一杯のふたりを観ていただけます。



OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『たまきはる 命の雫』新橋演舞場公演より (c)松竹

――同じ楽曲が、歌う役、歌う場面によっても違って聴こえるのが面白いです。



 歌詞の言葉の重みも変わってくるんですよね。それとロミオが追放されたときの曲『恋のために』、これだけは26年前の初演の時に使われた曲だそうです。他はすべてリニューアルされているのですが。その当時と繋がっていることが実感できて、私としてはめちゃくちゃうれしいですね。「命」につく枕詞の「たまきはる」は「魂極(たまきわ)まる」から来ているそうで、その言葉と「雫」という一瞬で消えてしまうものが結び付けられていて、舞台ってその場で生まれて一瞬で消えてしまうものですが、こうやって語り継がれていく。その重みを感じますね。



沈黙から生まれるエネルギー
新感覚レビュー『Silenphony-サイレンフォニー-』

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『Silenphony-サイレンフォニー-』新橋演舞場公演より (c)松竹

――そして第二部がレビュー『Silenphony』。プロローグにまず度肝を抜かれました。



 斬新ですよね。あれ?音、無いぞ?ってなりますよね。

(作・演出・振付の)平澤智先生が「沈黙の中にこそエネルギーを感じる」とおっしゃって。確かに、たとえば防音室。音は遮断されているけれどいろいろな圧を感じるなあと思ったんです。自分の体内から心臓の音だけが聴こえてくる。音が体の細胞レベルでちょっとずつ膨らんでエネルギーになっていく。その緊張感をお客様も共有してくださっているのを感じました。



――そして翼さんのタップダンスです。



 これも雨音を表現しているんですね。地面に落ちる雨の音がタップになる。そこへウスバカゲロウが千咲の歌と共に飛んできて、少しずつ霧も晴れて、飛んでいった先に我らがドンと控えている。みんなの体内の音が集まって一気に交響曲になる瞬間です。なので、みんなで板付きになって紫のお衣装で立っている、そこからがオープニングなんです。

私たちの生命力の爆発を、エネルギーを、3階席まで届けようとみんな必死です。



OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『Silenphony-サイレンフォニー-』新橋演舞場公演より (c)松竹

――『パクシラージ』では翼さん、お髭を着けていますね。



 インド映画のように底抜けに明るくハッピーな場面にして、お客様にはお腹抱えて笑っていただきたいと思っています。そして髭は14年ごしの夢がかないました(笑)。本当は着ける予定ではなかったんですが、インド映画の主人公って大体髭生やしているし、これは着けないとダメでしょと思って、舞台稽古の時に初めて着けてみたら……。



――先生からもOKが出た?



 先生からはマイクで「着けたいの?」と「はい、着けたいです!」と食い気味に答えて。「じゃあちょっと話し合おうか」と(笑)。でもその後舞台稽古でめちゃくちゃ頑張ったら「いいよ」と言っていただけました(笑)。



――『月と墨』では登堂(結斗)さんを軸としたヴォーグダンスです。



 袴姿でヴォーグなんてかなりの挑戦です。やっている側はほんとにしんどいだろうけど、私も毎回感動して観ています。



OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『Silenphony-サイレンフォニー-』新橋演舞場公演より (c)松竹
OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『Silenphony-サイレンフォニー-』新橋演舞場公演より (c)松竹

――『LifeSilence』がまたとてもおしゃれなダンスです。



 おしゃれですよね!一人ひとり踊り手に注目していただいて、そこにそれぞれのドラマを見つけてほしい。引きで観るとそこに関係性も見えてきたり。個のダンスが群舞になったり逆になったり。身ひとつで勝負しているような、シンプルな分、とても難しいことに挑戦させてもらっているなと思います。



――そして情熱的なスパニッシュからフィナーレへ。



 このショーの締めとして男役だけでフィナーレナンバーをさせてもらえるその緊張感。さらに娘役が加わって、パッショネイトなところ、フォーマルなところ、わちゃわちゃと楽しいところ、あの群舞の中でも流れがあるんですね。そこをもっともっと丁寧に積み上げていって演舞場へと臨みたいです。



OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『Silenphony-サイレンフォニー-』新橋演舞場公演より (c)松竹

――トップスターに就任されて2年目です。チームを率いるのに大事にしているのはどんなことでしょう。



 意識しているのは、お稽古を見て気になったときには惜しまず声をかけることですかね。それをどう受け取るかは本人次第、必要だと思ったら自身の引き出しに入れてくれたら。そして私自身が稽古場で率先して恥をかいていこうと。「ここまでやっていいんだ」ということが見えた方が下の子たちも挑戦しやすいかなと思うんです。劇団員それぞれが「こうなりたい」「こうしたい」という意思をすごく持ってる。その気持ちを舞台で表現するにはどうしたらいいか。そこを考えるのも私の役目かなと思っています。そんな今の私たちに会いにぜひいらしてください。演舞場でお待ちしています!



OSK日本歌劇団・翼和希インタビュー 「レビュー 春のおどり」が新橋演舞場に!

『Silenphony-サイレンフォニー-』新橋演舞場公演より (c)松竹

公演は新橋演舞場で5月5日(火・祝)まで。なお、7月には、福岡・博多座で同内容の「レビュー 夏のおどり」が上演される。



取材・文:五十川晶子




<公演情報>
OSK日本歌劇団「レビュー 春のおどり」



第一部
W.シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」より
『たまきはる 命の雫』
作・演出:北林佐和子

第二部
『Silenphony-サイレンフォニー-』
作・演出:平澤智

【京都公演】
2026年4月10日(金)~19日(日)※公演終了
会場:南座

【東京公演】
2026年4月30日(木)~5月5日(火・祝)
会場:新橋演舞場




OSK日本歌劇団「レビュー 夏のおどり」



2026年7月18日(土)・19日(日) 福岡・博多座



関連リンク

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2666328(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2666328&afid=P66)



公式サイト:
https://www.osk-revue.com/2026/01/10/1-286.html



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