『渡る世間は鬼ばかり』『肝っ玉かあさん』など、数々のホームドラマを手掛けてきた石井ふく子さん(99)。“世界最高齢の現役プロデューサー”としてギネス世界記録に認定され、今年9月には100歳を迎える。
「“歳をとった”からできない、ということはない」
“ホームドラマの名手”とも呼ばれる石井さんが手掛ける「生誕百年記念」と銘打たれた舞台『明日の幸福』が5月9日から新橋演舞場で上演される。同作は、三世代が同居する家族の物語で、1954年の初演時には石井さんの父も俳優として出演した、まさに自身の原点ともいえる作品だ。
都内のスタジオで行なわれている舞台稽古に顔を出し、石井さんに「100歳記念舞台、おめでとうございます!」と声をかけると、
「私、あんまり歳を自分で数えたことがないのよ。だからみんなが『今年100歳ですね』っていうから『あら、そうなの』っていう感じで」(石井ふく子さん、以下同)
とあっけらかんと笑った。過去のインタビューでも「死が怖いと思ったことはない」「自分の最期なんて考えたこともない」「年齢なんてただの記号」と、年齢に縛られない価値観を語ってきた石井さん。
「気づいたら自然とこの歳になってたのよ。年齢を気にして“歳をとった”と思うと仕事ができなくなるからね。いくつになったからこれができない、ということはないんです。何事も、あんまり考えすぎないことが大切よ」
テレビで68年、舞台で58年。長く第一線を走り続けることができたのは「健康だったから」の一言に尽きるという。
「健康じゃないと仕事できないでしょ。これまで大きな病気もしたことない。
日々の食生活も脂っこいものは食べないといい、朝はパンと卵、夜は焼き魚や汁物などを自炊するという。
毎日電話をかけてくる2人の大女優
そんな石井さんがこれまでの人生で最も大切にしてきたのは、「人とのご縁」だ。
「私は一人っ子で兄弟がいないんです。今でも(配偶者と子どもがおらず)一人で住んでいますが、友達には恵まれてきました。いろいろ心配なのか、今も毎日2人の人が電話をかけてきてくれます」
その2人とは、数々の作品でタッグを組んだ女優の大空眞弓さんと水谷八重子さん、だという。
「毎日決まった時間に2人から電話がかかってきます。水谷さんは午前中。大空さんは午後6時半ぐらい。『元気?』『ご飯食べた?』とかいつも単純な会話ですけどね」
ほかには、上戸彩さんからも電話がかかってくるといい、「彩は“孫”の顔も見せにきてくれたこともありました」。また故・森光子さんや故・京マチ子さんとは家族ぐるみの仲だったという。
「人間関係は大事ですよ。やっぱり人と出会ってから長く付き合うことが大事ね」
仕事のない日は基本的に、自宅で過ごすという石井さん。
「あまり外に出るのが好きじゃないの。
もっとも、その“静かな日常”も決して孤独とは無縁だ。友人から電話が絶えず、女優やスタッフなど仕事関係者の来客も多い。
「よくみなさんが自宅に来てくださるんです。カレンダーも予定でびっしりで、寂しいと感じることはないですね。むしろ、少しは一人の時間が欲しいなと思うぐらい(笑)」
そんな日々の積み重ねが、石井さんの“仕事の哲学”にもつながっている。
「みなさん、一生懸命やってくださる。結局は、“心”なのよ。何をするにしても、自分の心が相手に伝わって、相手の心が自分に返ってくる。そのやり取りが一番大事なことだと思います。心がない芝居やテレビを見ていると、『何をやってんの?』って思ってしまうの」
人とのつながりと、“心”のやり取り――それが、長く現場に立ち続けてきた理由だ。
「今でも電話をかけたくなる」盟友・橋田壽賀子さんとの別れ
石井さんのキャリアを語るうえで、欠かすことのできない人物がいる。
「彼女とはいつも電話をかけ合う仲でした。電話がかかってこないと『どうしたのよ?』って、今度は私のほうからかけたりして。話す内容のほとんどは仕事のことでしたね。『こういうドラマどう思う?』と聞かれれば、『この部分はこうしたほうがいいんじゃない?』と、お互いに率直に意見を言い合っていました」
そんな盟友・橋田壽賀子さんは5年前にこの世を去った。長年連れ添ったパートナーとの別れについて、石井さんは静かに言葉を選ぶ。
「やっぱり辛いですよ。いつもの時間になると、今でも電話をかけたくなるんです」
橋田さんは後年、後進の育成を目的とした「橋田文化財団」の設立を望んでいたという。しかし、資金面での不安を抱えていたため、石井さんはある提案をした。
「『TBSで1年通しのドラマを書いてくれるなら、足りない分はなんとかする』と伝えたんです。それで連続ドラマをやって資金をつくり、財団が設立されました。
長い人生の中で、多くの出会いと別れを経験してきた石井さん。大切な人との別れにどう向き合ってきたのか問うと、こんな言葉が返ってきた。
「大切な人との別れは、思い出すとずっと辛いものです。だからこそ、その人との良い思い出や、楽しかったことをできるだけ思い出すようにしています」
別れの痛みを抱えながらも、過ごしてきた時間の尊さを大切にし続ける。その姿勢こそが、石井さんの人生と作品に通じる“温もり”の源なのだろう。
後編「なぜ“家族の物語”を描き続けるのか―原点となる幼少期と戦争体験―」へつづく
取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部特集班
※「集英社オンライン」では、今回の記事についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(旧Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部

![【Amazon.co.jp限定】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 豪華版Blu-ray(描き下ろしアクリルジオラマスタンド&描き下ろしマイクロファイバーミニハンカチ&メーカー特典:谷田部透湖描き下ろしビジュアルカード(A6サイズ)付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Y3-bul73L._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~ *Blu-ray(特典:主要キャストL判ブロマイド10枚セット *Amazon限定絵柄) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Nen9ZSvML._SL500_.jpg)




![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)


