中国メディアの第一財経は16日、開催中のサッカー・ワールドカップ(W杯)北中米大会について「経済効果はそれほど大きくない?」とする記事を掲載した。
記事はまず、米国、カナダ、メキシコの共催による今大会は、出場チームが従来の32から48に拡大し、試合数も64から104に拡大して史上最大規模となることから、開幕前には北米経済をいかに活性化させるかについての予測があちこちで見られ、市場には楽観的なムードが漂っていたと伝えた。
その上で、ドイツ銀行の新興市場担当最高投資責任者(CIO)のジャッキー・タン氏が市場に冷や水を浴びせたとし、同氏が第一財経の単独取材で、W杯の経済効果は大多数の人々によって過大評価されている可能性が高いとの見方を示したと伝えた。
記事によると、ドイツ銀行は最新の報告書で、今大会は規模こそ空前だが、そのマクロ経済への影響は3カ国の規模に比べると限定的で、恩恵は開催16都市と特定の産業に集中し、国家レベルでの構造的な変化にはつながらないだろうと指摘した。
タン氏はまず、「消費の多くは、新たに増えるのではなく、他からの移行だ」とし、「W杯期間に流入する旅行客の相当数は、本来であれば他の場所で消費したり他の旅行先へ向かったりしていたはずで、これは一種の消費の再分配であり、新たに増えるものではない」と指摘した。
次に「インフラ投資の貢献はしばしば誇張されている」と指摘。「人々は大規模な建設プロジェクトを見ると、それらすべてがW杯によってもたらされた新たな経済活動だと考えがちだ。しかし多くのプロジェクトは既に政府の計画に含まれており、W杯は単にそのスケジュールを早めただけで、全く新しい投資を生み出したわけではない。3カ国は既存の施設を主に活用していて、W杯に直接起因する設備投資額は約10億ドル(約1600億円)と推計されており、2014年のブラジル大会や22年のカタール大会における大規模な新規建設と比べると比較的控えめな投資と言える」と述べた。
さらに「利益は国外に流出することになる」とし、「大会中の支出のすべてが国内にとどまるわけではない。国際的な企業や海外のサプライヤー、外国人投資家がそれぞれ利益の一部を受け取るため、国内経済への乗数効果は大きく割り引かれることになる」と指摘した。
その上で、「これらを総合すると、ドイツ銀行の予測が控えめである理由を説明できる」とし、「今大会は世界の国内総生産(GDP)を約400億ドル(約6兆400億円)押し上げ、80万人を超える臨時雇用を創出すると予想されているが、3カ国のGDPの合計が33兆ドル(約5280兆円)超であることを考慮すると、これほど大規模なスポーツイベントであってもマクロ経済への刺激効果はかなり限定的であると言える」と述べた。
タン氏は「3カ国への恩恵の度合いは大きく異なる。米国が最大の受益者になるだろう」とし、「今大会は米国のGDPを約170億ドル(約2兆7200億円)押し上げ、約18万人の雇用を創出し、公的支出をほぼカバーできる34億ドル(約5440億円)超の税収を生み出すと予測されている。
メキシコについては「他の2国と様相が異なる」とし、旅行客数や消費額だけでなく、資本市場レベルでの増幅効果が期待されていると指摘。「メキシコの株式市場の規模は米国の100分の1にも満たない。W杯関連の消費支出が米国やカナダと同規模であれば、メキシコの株式市場には米国やカナダよりもはるかに大きな波及効果がもたらされることになるだろう」と述べた。(翻訳・編集/柳川)











