中国政府の発展改革委員会(発改委)はこのほど、企業などの設備の更新のために、政府が2000億元(約4兆8000億円)を投入することを発表した。さらに、消費者の買い替え需要を喚起するために、第3期分として625億元(約1兆5000億円)の補助金を拠出することも表明した。
中国経済は先行きを楽観できる状況ではない。世界的な地政学的対立や外需の不確実性が激化し、国内では既存設備の老朽化など多くの問題に直面している。今回の財政投入は下降圧力に対抗する短期的な調節手段であると同時に、新たな生産力を育成し国内大循環を円滑にする中長期的な手配だ。
中国では、経済成長を内需によって支える必要が、これまで以上に大きくなっている。その点で、国内市場が巨大であることは有効だ。国内には3億3600万台を超える自動車、30億台を超える家電がある。既存の工業設備と老朽化した行政関連施設は1000万台程度ある。設備更新の潜在的規模は年間で5兆元(約120兆円)を超えるとされる。外需の落ち込みに十分対抗できる金額だ。
発改委の鄭柵潔主任は、2026年から2030年までの第15次五カ年計画の期間中には内需を拡大し続け、国内での経済の大循環を強化して新発展構造の構築と質の高い発展に強力な保障を提供すべきだと表明した。鄭主任はさらに、大国である中国の経済の強みは、内需主導で国内経済を循環させることが可能な点だと指摘した。そのため、内需拡大戦略を断固として実施し、内需の安定発展で外需の不確実性に対抗し、国の生存力や持続力を強化するという。
中国の既存資産は集中的な更新周期を迎えた。大量の生産設備は10年以上稼働している。それらの設備はエネルギー効率が悪い。民生関連では住宅用エレベーターも老朽化し、高齢化に伴う施設不足も深刻だ。これらは効率低下と安全上のリスクを伴うため大規模な更新が不可欠だ。そこで設備の更新の補助では、工業分野以外に、住宅用エレベーターの更新や高齢者施設のスマート化・高齢者適合化設備の更新という2大セクターを追加し、都市の安全と高齢化対応についての弱点を補強した。
また、設備の更新ではスマート化などを重点とし、時代遅れの設備を淘汰する。さらに同時に設備更新の再貸付や利子補給などの金融手段を組み合わせる。例えば中小企業の技術の高度化をもたらす設備更新のための資金調達コストを引き下げる。
中国で民間の投資意欲が減退した大きな原因は、不動産市場の調整や地方政府のインフラ投資の伸び悩みだ。それらによって住民の貯蓄意欲が高まった。つまり「カネを使いたがらない傾向」だ。「もっと良いものを使いたい」という消費の高度化の欲求はあるが、古い製品を所有していれば新たに購入することにブレーキがかかり、出費を避けたい気持ちが買い控えに輪をかけることになる。
上海市では2024年の買い替え政策で「国による補助」と「市による補助」の累計支給額が18億元(約430億円)を超えた。関連する消費額は約120億元(約2900億円)に達し、資金投入のレバレッジ率は6倍を超えた。発改委は2026年には関連する補助金が1兆元(約24兆円)以上の消費を掘り起こす見込みと表明した。
これらの補助金のための最終的な資金源としては、超長期特別国債に頼る。全国としては中央政府が9、地方政府が1の割合で負担するが、経済が発達した東部では中央が85%、遅れがみられる西部では95%にするなど、地方による財政事情の違いも考慮する。このことで、中国全国でまんべんなく政策効果が発揮されるようにする。
マクロ面では財政手段で設備投資を活性化させつつ消費の潜在力を解放し、内需拡大で対外依存を低下させた。産業面では設備のグリーン化などを促して新たな生産力を育成し、民生面では都市の安全等の弱点を補い、消費意欲を安定させる考えだ。











