香港メディアの香港01は12日、中国がレアアースなどの輸出規制で攻勢に出る中、日本はどのように対抗するのかを分析したシンガポールメディア・聯合早報の記事を紹介した。

記事は、中国商務部が6月末に新たに日本の20の企業・団体を輸出規制リストに追加すると発表したことに触れ、「今年に入って中国が対日輸出規制を発動するのは2回目となる。

これは、中国政府が輸出規制を地政学的な圧力手段として利用する傾向を強めていることを示している」と論じた。

そして、中国の輸出規制はもともと核兵器や軍用品などの拡散防止を目的とした安全保障措置だったが、近年では、米国による半導体関連技術の対中輸出規制への対抗措置として、レアアースやガリウム、ゲルマニウム、黒鉛など重要鉱物の輸出管理を強化し、国際サプライチェーンに影響を及ぼしていると指摘した。

また、「中国は17種類のレアアース元素のうち12種類に厳格な輸出管理を実施しており、対象は鉱物資源だけでなく、サプライチェーン上の重要分野にも広がっている」とし、専門家からは、「中国の輸出管理が一時的な対抗措置から常態化した外交・経済戦略へ変化している。特に対日措置については、防衛関連企業を対象に加えるなど、範囲と狙いが明確化している」との指摘が出ていることを紹介した。

記事は、中国の対日レアアース輸出管理について、台湾有事をめぐる高市早苗首相の発言後に2度強化しており、中国税関統計によると、今年5月の日本向けレアアース磁石輸出量は前月比34.6%減となり、前年5月以来の低水準となったと説明。一方で、日本は2010年のレアアース問題を経験して以降、供給源の多角化を進めており、米国よりも備蓄は多いとの専門家の見方を伝えた。

また、日本国内ではレアアース使用量を減らす技術開発を進めており、鉄を主成分とする電気自動車(EV)用モーターの開発や、重レアアース使用量を大幅に削減した車両投入などを進めているとしたほか、オーストラリア、ベトナム、インド、カナダなどとの資源協力を強化し、海外での鉱山開発や加工能力の確保にも取り組んでいるとした。

一方で、中国の輸出規制による影響は依然大きいとの指摘もあるとし、2010年のレアアース禁輸では日本経済への損失はGDP比0.9%相当だったとされるが、今回の影響はさらに大きくなる可能性があると述べた。

記事によると、中国の民間シンクタンク・海頤智庫日本研究センターの陳洋(チェン・ヤン)主任は、日本が必要としているのは単なるレアアース鉱石ではなく、レアアースの分離・精製や磁性材料の加工能力だとし、「たとえオーストラリアなどの国が鉱石を供給できたとしても、多くの工程において最終的には中国のサプライチェーンを避けて通ることは難しい」と指摘した。

一方、シンガポール国立大学東アジア研究所の諸葛森氏は、今後5年以内に日本を含む各国は軽レアアース原料、ネオジム・プラセオジム、さらには一部の磁石生産能力において、中国への依存を大幅に低減できる可能性があるとしつつ、純度の高い精製やリサイクル、金属化など下流分野への依存を減らすには、少なくとも5~10年の時間が必要になるとの見方を示した。

また、英エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のシニアエコノミスト・徐天辰氏は、中国が輸出規制を実施するか否かに関わらず各国は代替産業網の構築を進めていくとした上で、「中国の立場を考えると、輸出管理という手段はどんどん活用していく可能性がある。今使わなければ、将来的に他国が技術的突破を果たした際に中国はそれを利用する機会がなくなるからだ」と指摘した。

(翻訳・編集/北田)

編集部おすすめ