中国のコンテナ船が15日夜、北極海を経由するルートで欧州へと出航した。輸送期間を半分に短縮する新たな定期便サービスの一環で「氷上のシルクロード」にも例えられるが、AFP通信は「環境団体は極地の氷の融解を加速させる可能性があると警鐘」と伝えた。

AFP通信によると、コンテナ船「ドバイ・タワー(Dubai Tower)」は15日夜、中国東部の港湾都市・寧波を出港。北上し、ベーリング海峡を通過した後、ロシア北方の極寒の海域を西へと進む。

この船を運航する海運会社「シー・レジェンド」が公開した運航スケジュールによると、同船は9月7日に英フェリクスストウに到着。その後、ドイツのハンブルク、ポーランドのグディニャに寄港する予定だという。

中国から欧州への「北極海ルート」は、スエズ運河を経由するルートよりも大幅に速く、イエメンのイラン支援勢力フーシ派による襲撃の標的となっている紅海を回避することができる。しかし、北極海ルートが通航可能となるのは、砕氷船なしで航行できるほど氷が少ない時期に限られている。

2月下旬の米イスラエルによるイラン攻撃をきっかけに始まった中東での紛争により、世界的な海上輸送は深刻な混乱に見舞われている。

企業向け保険会社アリアンツ・コマーシャルの海運分析によると、昨年、北極海航路を通航したコンテナ船は23隻で、2024年の15隻から増加している。

移動距離の短い北極海ルートを通航する船舶の増加について環境団体は「世界的な気温上昇によってすでにもろくなっている北極海の海氷減少を加速させるおそれがある」と注意を促している。

こうした状況を背景にフランスのCMA CGM、スイスのMSC、ドイツのハパクロイド(Hapag-Lloyd)などの大手海運会社は「北極の寄港・輸送ルートを回避する」と明言している。

その一方でアナリストらは、北極海が将来の重要な貿易ルートとして機能する可能性があり、特に「氷上のシルクロード」構想を通じて同地域への関与強化を掲げる中国にとっては重要となるとしている。

北極海航路はロシアも開発に多額の投資を行ってきた。

同航路を利用すれば、アジアまでの航海日数を従来のスエズ運河航路よりも短縮できるとして、スエズ経由の代替ルートとして積極的にアピール。気候変動による氷の減少を受けて、ロシア政府は北極海航路を使って石油やガスの輸出を計画している。(編集/日向)

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