2026年9月15日、中国メディア・第一財経は、中国のAI企業DeepSeek(ディープシーク)のエンジニアが急速なAIの進歩を前に、「失業は免れても転業は不可避」とする手記を発表したと報じた。
記事によると、手記を公開したのは世界大会で2位の実績を持つ北京大学スーパーコンピューティングチームの元キャプテンで、2025年4月からDeepSeekで機械学習システムと演算子の設計・最適化を担当している劉勝与(リウ・ションユー)氏。
演算子はAIモデルと基盤ハードウェアを結ぶ中核部分であり、モデルがGPUなどの性能を最大限に引き出せるかを左右する高度な領域とされる。劉氏は、AIが1秒間に300トークンを思考し、演算子のコードを20秒で書き上げる圧倒的な速度と自己進化の可能性に触れ、技術を前に進めることはエンジニアの本能であると同時に、自らを破壊するような過酷な開発競争に加わらざるを得ない葛藤を吐露している。
劉氏はその上で、自身の経験や判断力によって業界に生き残ることはできるものの、失業を防ぐためには自ら「転業」する道を選ばなければならないと分析。今後は手作業でコードを最適化する職人技から離れ、自律型AIエージェントの指示や統括、タスク分割、評価を担う役割へ移行せざるを得ないとし、手書き演算子の時代との決別を語った。
また、AIに依存して育つ次世代の開発者の基礎的なシステム構築能力が低下し、質の低いコードが量産されてシステム障害の火種になる懸念も示している。
記事は、劉氏の発言に関連して、プログラマーの代替をめぐる議論が新たな局面を迎えている点にも言及。米グーグルのサンダー・ピチャイCEOが今年4月に新コードの75%がAIによって生成されていると明かしたほか、コード品質・セキュリティー解析会社ソナーの報告書でもAIプログラミングツール使用経験のある開発者の72%が日常的にAIツールを使用している実態を紹介した。
一方で、米マイクロソフトのケビン・スコット最高技術責任者の言葉を引用し、AIがコードを生成してもソフトウェア工学そのものを完結できるわけではなく、要件定義やシステム設計には依然として人間の主導が不可欠であるとも伝えた。
記事は、劉氏が言及した「転業」という選択は一人のトップエンジニアの個人的な決断にとどまらず、ソフトウェア開発業界全体が直面している根本的な役割転換の潮流を象徴していると評した。(編集・翻訳/川尻)











