中国で自動車教習所の受講生が減少し、教習ブームに陰りが目立ちつつある、と中国メディアが伝えた。背景にあるのは若者の車離れや公共交通網の整備、配車サービスの普及などだ。

中国通信社(CNS)が紹介した公安部の公式統計によると、2017年に全国で新たに運転免許を取得した人は3054万人だったが、25年には2051万人まで減少した。

今年の夏休みは自動車教習の繁忙期にもかかわらず、山東省済南市のある教習所では15台ある教習車のうち実際に使われていたのはわずか4台で、残りは隅に止められたままだったと報じられた。

多くの人が記憶する夏休みの教習所といえば、炎天下で1台の車を何人もの受講生が囲み、自分の番が来るのを待ちながら、コースを一周、あるいは半周だけ練習するといった光景だった。

しかし今、そうした光景は姿を消している。業界大手の東方時尚を例に挙げると、22年から25年まで4年連続で赤字となり、25年の売上高は6億1800万元(約146億3139万円)、純損失は7億4500万元(約176億3817万円)に達した。業界最大手ですらこの状況なのだから、中小の教習所がどのような状態にあるかは想像に難くない。

さらに教習所にとって深刻なのは、需要の縮小が単なる一時的な景気変動ではないとみられている点だ。「今は運転を習う人が本当に少なくなった」。ある教習所の教官はこう語った。「00後(2000年代生まれ)」の若者の間では運転免許の取得を急がない人が増えており、かつて卒業時の「定番」とされていた免許取得が徐々に個人の選択肢の一つへと変わっている。

業界の専門家も若者の「教習所離れ」の背景には消費意識の根本的な変化があると分析する。「00後」は必要に応じて消費する傾向があり、従来の自動車教習の体験に対する不満も重なり、免許取得を先送りしたり、取得そのものを諦めたりする若者が増えているという。

消費意識の変化だけではない。より現実的な問題として運転を習わなくても移動にはほとんど困らなくなっている。交通運輸部のデータによると、25年末時点で31の省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団を合わせて54都市で、計343路線の都市鉄道が運行されている。公共交通網が密に整備されたことで、都市内の移動手段は大幅に増えた。

同時に配車サービスもすでに広く普及している。26年6月末時点で、全国では401社の配車サービスプラットフォーム運営会社が営業許可を取得。スマートフォンに配車アプリがあれば、必要な時にすぐ移動できる環境が整っている。

CNSは「急速に発展する自動運転技術は『そもそも人が運転する必要があるのか』という根本的な問題に関わってくる」と指摘。「レベル3の自動運転が徐々に大規模な実用化へ向かい、レベル4の商用化も加速する中、人々は移動の在り方そのものが大きく変わる可能性を意識し始めている」との見方を示した。(編集/日向)

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