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水木しげるじゃないよ。ドリヤス工場『あやかし古書店と少女の魅宝』

2012年8月23日 11時00分 ライター情報:たまごまご

ドリヤス工場『あやかし古書庫と少女の魅宝』は、どこからどう見ても水木しげるワールド……なんですが、違う、全く別の何かだ! 水木絵翻訳された現代風能力バトル、ものすごくクセになる作風の漫画家が現れてしまった。

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書店でこの本見かけたら、首をかしげますよ。
あれ、これ水木しげる? 新作?
いや違う、作者の名前……ドリヤス工場。いやでもこれどう見ても水木しげる絵でしょ? なにこれ??
 
ドリヤス工場(作家名です)の『あやかし古書庫と少女の魅宝』は、一切、水木しげると関係ありません。
どんなに似ていようとも、一切! なんにも! 関係ありません!
つったってねー。「いや水木しげるの真似でしょう?」と言われたら、それは間違いなくその通りなんです。
水木しげる絵鑑定士レベルの高い人なら、いかに水木しげる絵と違うかは見て分かると思いますが、ぼく程度ではちょっとわかりません。
この作者、一体何者なのかをちょっと説明してみます。

まず内容の前に、ドリヤス工場とは何者なのかを簡単に説明します。
作者のドリヤス工場は、アンソロジーなどで色々なアニメやマンガを、水木しげるタッチで描くパロディマンガ作家でした。
実際には「水木しげる」という名前は一切出てこないんですが、まあぶっちゃけ誰が見たって水木しげるなわけですよ。
ここからが作者の面白いところなんですが、水木しげるの絵柄で色々なアニメをパロるんですが、それがギャグじゃないんです。
彼の作風は、翻訳なんです。
点描、おちょぼ口、線の強弱、吹き出しの配置、ベタ塗りのバランス、独特の「ひーっ」などの書き文字、妖怪たちがのんきに暮らすような不思議な間のとり方。
これらを徹底的に研究し、言語として捉えました。
なので、水木しげる絵でアニメキャラを描く彼は、面白みをそこに映しだしてはいましたが、水木絵でギャグをする、ということは一切していないんです。
言うなれば、彼の個性や主張はそこに全く入っていない。決して笑いのネタとして踏み荒らしていない。水木絵で面白おかしいことをするんじゃなくて、あくまでも水木絵に翻訳すること、それが一番面白いことなんだと信じて疑わずに描いている。
要するにリスペクトなんです。
そのためか、水木絵で色々な作品を翻訳はしますが、水木しげるキャラは描いていません。

もう一つ、水木しげるは確かに、この表紙のようなおちょぼ口のほほんキャラをたくさん描いてはいますが、他にもたくさんのタッチを用いて絵を描いています。特に貸本屋時代は様々なタッチを駆使していました。
女の子もすごい美少女を描くことありますし、美青年もいます。別にみんなおちょぼ口じゃないです。
ところがドリヤス工場はそこは真似ていません。
とことん水木絵を研究しているのは間違いないんですが、あくまでも翻訳、いや意訳なんです。

ライター情報

たまごまご

フリーライター。「ねとらぼ」「このマンガがすごい!WEB」などで執筆中。ひたすらに、様々な女の子の出てくるマンガを収集し続けています。

URL:たまごまごごはん

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