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今夜金曜ロードSHOW!「かぐや姫の物語」で高畑勲は何を伝えようとしたのか

2018年5月18日 10時00分 ライター情報:近藤正高
今夜9時からの日本テレビ「金曜ロードSHOW!」で、去る4月5日に亡くなった高畑勲監督の最後の作品「かぐや姫の物語」が放映される。
高畑勲監督の最後の作品となった「かぐや姫の物語」(2013年)DVD

宮崎駿が「かぐや姫」に抱いた疑問


「かぐや姫の物語」は2013年11月に公開された。同じくスタジオジブリ作品である宮崎駿監督の「風立ちぬ」より4カ月遅れとはいえ、高畑・宮崎両監督の作品が同じ年に公開されたのは、1988年に「火垂るの墓」(高畑)と「となりのトトロ」(宮崎)が同時上映されて以来、25年ぶりのことだった。

これに合わせ、翌年1月発売(2014年2月号)の「文藝春秋」誌上では、両監督にジブリの鈴木敏夫プロデューサーを交えて鼎談が行なわれている。その冒頭、宮崎と高畑がお互いの新作について編集部より感想を求められ、まず宮崎が次のように「かぐや姫の物語」で気になった場面をあげた。

《『かぐや姫』を観たときにね、長く伸びた竹を刈っていたでしょう。筍というのは、地面から出てくるか出てこないときに掘らなきゃいけないんじゃないかとドキドキしたんですけど》

この描写は映画の前半、翁(おきな)が幼いかぐや姫を連れて竹林に入る場面で出てくる。たしかに翁は、かなり成長したタケノコを根元だけ残して鎌で刈り取っていた。私たちのイメージするタケノコは、宮崎の言うように、あまり伸びきらないうちに「刈る」というよりは「掘り出す」ものだろう。しかし、高畑はこの宮崎の疑問に対し、《真竹だからあれでいいんですよ。孟宗竹だったら宮さんの言うとおりなんですけど、当時、孟宗竹は日本に入ってきていない。ちゃんと調べたんです(笑)》ときっぱり答えている。ちなみに孟宗竹(モウソウチク)が中国から日本に入ってきたのは18世紀なので、「かぐや姫」の原作『竹取物語』が成立したとみられる時代より約800年もあとだ。

それにしても、「ちゃんと調べたんです」という言葉からは、高畑の自信に満ちた顔が浮かぶ。鈴木敏夫はべつのところで、宮崎駿が《すべてをイメージで作るタイプ》なのに対し、高畑はまったく逆で、《細部にこだわって、とことん調べる人》と両者の違いを説明しているが(「文藝春秋Special」2013年冬号)、タケノコの描写一つとっても、そうした高畑の志向がうかがえる。

「ハイジ」を思い出させる「かぐや姫」の一場面


「かぐや姫の物語」は企画が始動してから8年がかりで完成した。もともとこの企画は、高畑が1950年代、まだ東映動画(現・東映アニメーション)の新人だったころ、内田吐夢監督により『竹取物語』を映画化する話が持ち上がった際に思いついたアイデアがもとになっていた。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

コメント 5

  • 匿名さん 通報

    生物から窺える自然描写や様々な局面における人の内面の有り様を簡素でありながらも忠実に繊細に表現されそれがダイレクトに伝わって来るから凄い。竹取物語まで遡ってテーマの普遍性を掘り起こして来る感性には脱帽

    8
  • 匿名さん 通報

    30分で収まる話。盛りに盛りすぎ

    5
  • 匿名さん 通報

    遠い親戚より近くの他人ってことかな

    2
  • 匿名さん 通報

    全編が白っぽいホワイトアウトの画面で、映画館で目がチカチカして疲れた。

    0
  • 匿名さん 通報

    昔の日本人は月は空中にあると思っていて、空気がない事も地球が丸い事も知らなかったのでは?月世界の描写がアポロ11号が撮ってきた写真そっくりなのは昔話としては違和感を感じる。

    0
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