「居酒屋・子どもウェルカム化現象」を考える
まちの「赤提灯」が、オヤジの店から、家族連れの店に移行し、業態も細分化してきています。
近年、「子どもウェルカムな居酒屋」が増えている。
お酒の場で走り回る子どもを見ると、以前は私も、正直、「うるさいな〜」と思ったりした。

でも、自分が親になってみると、こうした店は非常にありがたい存在だし、自分自身が「うるさいな〜」と思っていたからこそ、個室があればそこをお願いしたり、子どもが飽きたとみれば店を出たりと、周囲に気を配るようにしている。

そんな子連れの親たちに支持されているのは、やはり大手チェーン店。
5〜6年前から「居酒屋」をやめ、「居楽屋」という名称を謳っている白木屋に、経緯を聞いた。
「昔の居酒屋はどうしても"赤提灯"をイメージする人が多かったですよね? でも、家族連れや女性も意識し、みんなが楽しく過ごせる場所ということで、『居楽屋』としたんです」
子連れの割合は調査していないそうだが、
「周りの席を気にせずに楽しんでいただけるよう、個室風の席を設けています。お子さま連れの方は、ダントツで個室を利用されますね」
子連れの客の場合、早い時間帯の利用が多く、他の客との時間帯もあまりぶつかることがないこともあり、これまで苦情は特にないそうだ。

また、「もっと家族、団らんの場を」という思いのもとに生まれたのが、和民である。
「もともと居酒屋とファミレスの中間として作ったもので、『豊かで楽しいもうひとつの家庭の食事』がコンセプトです」
というのは、広報担当者。「和民」はもともと家族連れをターゲットにし、「食事を楽しみながらデザートもつけて、お酒も飲める」店としてつくられ、別業態の「和み亭」ではお子さまメニューも設けているほど。
安全・安心を大前提にし、有機野菜を利用して、手づくりで提供しているため、「お母さんから見て安心」ということも、子連れに支持される理由のようだ。

だが、実はここ数年、郊外店舗でのマーケットは減っているという。
「たとえば、家族3人の家庭では、外食というと、まずお子さんにどこに行きたいか聞きますよね? すると、1番に挙がるのが焼肉で、次はお寿司といいます」

3番目は手ごろなファミレス、4番目となる居酒屋は、出番がどうしても少なくなる。
「そもそも『家庭の味』をコンセプトにしている和民のメニューは、家でも食べられるものなので、いってみれば贅沢品になるようで……」
そこで、ワタミグループが3月20日にスタートするのが、焼肉居食屋「炭団」である。

「安全な食材、お得な価格、そして居心地よさを追求しています」
1号店は東京・御茶ノ水にオープンし、続いて横浜の青葉台、新杉田などにもオープンする予定とか。
「子連れの外食」のスタイルは、どんどん時代に合わせて変わってきているようだ。
(田幸和歌子)
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