『鳥打ちも夜更けには』(河出書房新社)著者:金子 薫Amazon |honto |その他の書店

◆奇想天外、政治的な寓話
舞台は「架空の港町」と呼ばれる、とある島。そこでは、町長の意向を受け、主要産業を漁業から観光に変えて、花畑で育つアゲハチョウをその目玉にしている。
ゆえに、アゲハを捕食する海鳥は、厳しく制限されなければならず、吹き矢で海鳥を殺す仕事――「鳥打ち」――が必要不可欠な仕事となる。

沖山、保田、天野の3人の鳥打ちが主たる登場人物。沖山が語り手である。3人はそれぞれ鳥打ちについての思想を持っている。その差異が、島に不穏な空気をもたらし、最後に待っているのは、奇想天外な破局だった……。

稠密(ちゅうみつ)な文章がいい。それから、こうした寓話こそが、すぐれて政治的であることを再確認させてくれる。期待大。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。
その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2016年3月3日

【書誌情報】
鳥打ちも夜更けには著者:金子 薫
出版社:河出書房新社
装丁:単行本(151ページ)
発売日:2016-02-23
ISBN-10:4309024459
ISBN-13:978-4309024455
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