『残された者たち』(集英社)著者:小野 正嗣Amazon |honto |その他の書店

◆ユーモア漂う限界集落の日常
芥川賞作家・小野正嗣が4年前に発表した小説が、いきなり文庫化された。小野がずっと書き継いできた、海沿いの、人の少ない集落の物語の一部を成す。


登場人物は少ない。尻野浦小学校の、一風変わった校長先生、杏奈先生、生徒の飛鷹かおる、そしてかおるの父と兄。そこへ、ある日、「ガイコツジン」集落から「エトーくん」がやってくる。

限界集落に住む人々の、寂しい交流の話ではない。人物たちは、ベトナムからやってきていたり、肌の色が違っていたりするのだが、拙いながらコミュニケーションを図る。

小野の描く人物は、小さな声で、少ない言葉を話す人々。彼らのどこかユーモアの漂う日常が、静かな風景の中に写し取られている。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。


【初出メディア】
日本経済新聞 2015年6月11日

【書誌情報】
残された者たち著者:小野 正嗣
出版社:集英社
装丁:文庫(173ページ)
発売日:2015-05-20
ISBN-10:4087453243
ISBN-13:978-4087453249
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