この1年の動きを振り返ると、販売状況が大きく上下に動いていることが分かる。まだ製品数も少なく、これからの市場。新製品が登場したり値上げや値下げが実施されたりするたびに、売り上げが大きく変動するからだ。まず昨年2月、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(ソニー・IE)が「PlayStation VR2」を発売。すると販売台数前年比は127.6%まで拡大した。平均単価(税抜き、以下同)も5万7500円まで上昇したことで、販売金額前年比は226.0%に跳ね上がった。
しかし翌7月、Meta Platformsの「Meta Quest 2」の128GBモデルの平均単価が3万円台まで下落。販売台数前年比は97.2%と前年並みまで回復した。販売金額は102.9%と、わずかながら前年を上回った。8月、9月は再び台数、金額ともに2桁割れに逆戻りした。そして10月、新製品「Meta Quest 3」の発売で市場は大いに活性化。販売台数前年比が246.9%、金額が387.8%に跳ね上がった。平均単価もこの1年で最高の6万600円まで上昇。翌11月も勢いは持続し、市場は大いに盛り上がった。しかし、12月には勢いが鈍化。
メーカーシェアも入れ替わりが激しい。昨年2月、ソニー・IEがPlayStation VR2を発売すると、販売台数シェアは70.6%まで急上昇しトップシェアを獲得。この勢いが衰えると、Meta Platformsにトップが交代。2社の攻防の合間に、スマートフォンを挿入するタイプの製品を扱うエレコムがトップを奪う場面もあった。直近では、Meta Quest 3を発売したMeta Platformsが11月に79.0%と圧倒的なシェアを獲得した。同社のQestシリーズは2019年発売のOculus Questから、Qest 2、Qest Proを経て今作で4代目。PlayStation VR2と同様、ゲームなどの用途が中心だが、数万円で楽しめるとあって人気を得ている。
Vision Proの価格は3499米ドル。およそ51万円だ。価格帯もコンセプトも既存のVR・ARゴーグルとは全く異なる。Vision Proが一定の評価を得れば、追随するメーカーも登場し、「空間コンピューティング」市場が誕生することになりそうだ。
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