○過去3年におけるスマートフォン市場動向の比較
スマートフォン市場は3月と9月に需要が高まる。そこで、22年1月第1週(1/3-1/9)の販売台数を「100.0」とした指数を算出し、スマートフォン市場を振り返る。まず、新生活前の3月の需要増について。毎年2月4週から動きはじめ、3月の4週まで多少の上下動を繰り返しつつ、高い水準を維持する。
次に9月の動きをみると、22年、23年とも9月2週(22/9/12-9/18、23/9/11-17)から動き出し、翌週にピークを迎える。これはiPhoneの新モデル販売と連動している。22年は9/16にiPhone 14シリーズが発売、翌週に指数は117.1に達した。
また、23年は12月3週(12/18-12/24)にも需要の山が存在している。これは、総務省が廉価販売に対する規制強化のため、電気通信事業法施行規則を一部改正したことに起因する。11月に入るとテレビやネット上で改正に関する報道が始まると、前年とは異なる動きを見せ始めた。12月3週(23/12/18-12/24)に143.9と22年1月以降最も高い指数を記録。翌週には反動で80.2まで落ち込んだ。
○スマートフォンの購入重視点
高単価のスマートフォンを購入してもらうため、キャリアは廉価販売を行ってきた。ハイエンドはより高単価に、エントリーモデルは安値安定といった感じに、最近の端末価格は二極化している。マクロミルが実施したアンケートからスマートフォンユーザーの購入重視点を探った。
○シリーズ別のシェア動向
次は、スマートフォン市場におけるシリーズ別の販売台数シェアについて。
Android勢では、「Google Pixelシリーズ」が頭抜けた恰好。他にシャープの「AQUOSシリーズ」、SAMSUNGの「Galaxyシリーズ」、ソニーの「Xperiaシリーズ」、OPPOシリーズが上位にランクインしている。上位の動向を見る限り、廉価販売の規制以降、シェアが大幅に増加したのは「iPhone 15(無印)」のみであることも明らかとなった。
○上位シリーズのユーザー属性の違い
では、上位のiPhone 14/13(共に無印)、Google Pixelシリーズ、AQUOSシリーズを利用しているのは、どのようなユーザー属性なのだろうか。再びマクロミルが実施したアンケートを基に、それぞれのシリーズにおける性別と年代の違いをみていく。まず、性別を比較すると、iPhone 14/13、AQUOSシリーズでは、ほぼ半々の比率となった。しかし、Google Pixelシリーズでは73.9%と突出して男性ユーザーの比率が高いことが特徴的。年代において、iPhoneは共に20代女性の比率が高い。一方、Google Pixelでは50代男性が20.0%と偏っている。AQUOSシリーズでは男女共に50代以上において2ケタだった。大まかに言うと、iPhoneは若年層、Androidは高齢層が利用しているという結果になった。(BCN総研・森英二)
*マクロミルが実施したアンケートの調査概要
調査名 :スマートフォンに関する調査
調査機関 :マクロミル
調査方法 :インターネットリサーチ
調査対象者 :全国15~79歳男女
回答者数 :2,856人
割付方法 :エリア性年代均等割付後、人口推計に合わせて構成比を補正
調査実施期間 :2023年4月~2023年6月
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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