森保監督が選んだ26人を世界の識者はどう見たのか(C)Getty Images

「サッカーは時に残酷なものだ」

 4年間の積み重ねをぶつける舞台が、目前に迫ってきた。5月15日に森保一監督は、来る6月12日に開幕する北中米ワールドカップ(W杯)の日本代表メンバー26人を公表。史上初のベスト8進出に向けたスカッドは、世間を大いに沸かせた。

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 毎大会前に何らかのドラマが生まれてきたメンバー発表だけに、今大会に向けてもさまざまな議論や話題は起きている。とりわけ国際的にも注目を集めたのは、絶対的エースである三笘薫の選考外だ。

 まさかのアクシデントだった。5月9日に行われたプレミアリーグ第36節のウォルバーハンプトン戦の55分に三笘は左もも裏を押さえてピッチに転倒。自力でロッカールームに下がったものの、精密検査の結果は芳しくなく、無念の選外を余儀なくされた。

 代表メンバーを読み上げた森保監督は、三笘について「(代表にも)プラスアルファの力をもたらしてくれていたのは間違いない。彼(三笘)の怪我は最後までメンバー選出に影響を与えた」と吐露。攻撃の軸として機能していた28歳の韋駄天を欠くチーム状況を憂いた。

 では、“エース”であった三笘がいなくなった日本を世界はどう見ているのか。英紙『The Guardian』などで執筆する英国のジャーナリストのジョン・デューデン氏は、「サッカーは時に残酷なものだと誰もが知っている」と切り出し、「わずか数週間前、ウェンブリーで日本の決勝ゴールを冷静に決めたばかりのカオル・ミトマは、夏休みを自宅で過ごすことになった。彼のワールドカップ出場への夢は潰えたのだ」と指摘。日本代表MFの心情を慮った上で、「チームにとって最大級のスターを選べなかった日本は、負傷者続出という小さな危機に直面している」と続けた。

 たしかにスカッド全体の状態は芳しくない。三笘の他にも、代表実績が豊富な南野拓実も故障明けで選外となったほか、選出されたメンバーでも、長期離脱から状態がようやく回復してきた冨安健洋や遠藤航もコンディション不足が不安視される。“タラレバ”を言えば、キリがないわけだが、事実として懸念材料はあるのだ。

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長く代表の柱となっていた遠藤と冨安。代表メンバー入りを果たした二人のコンディションも話題を呼んでいる(C)Getty Images

「ある種の『賭け』」と言われた選考は――

 日本の地力の高さについて「着実に成長を遂げ、才能あふれる選手たちが自信に満ち溢れているという明確なアイデンティティが確立されている」と断言したデューデン氏だが、「オランダすらも恐れず、グループ首位通過を果たすという自信に満ちている彼らを怪我の問題が悩ませる。ミトマはアジア屈指の選手であり、その不在は痛手となる」と分析。そして、こう続けている。

「ワタル・エンドウも幾度となく怪我に悩まされてきた。今大会の代表メンバーには選ばれたものの、現時点でどこまでのレベルで出場できるかどうかは未知数だ。彼は2月以来、公式戦で出場しておらず、足首の怪我から回復したとしても、コンディションやキレについては疑問が残る。

 そして、タケヒロ・トミヤスも同様だ。彼は昨年に慢性的な怪我の問題に対処するためアーセナルを退団。

今冬のアヤックス移籍は功を奏したかに見えたが、以前から抱えてきた問題が再び表面化している。彼も代表メンバーには選ばれているが、2024年6月のシリア戦以来、代表戦には出場していない。その選考は、ある種の『賭け』と言える」

 アジア予選をぶっちぎりで駆け抜けてきた森保ジャパン。しかし、課題が山積している状況は決して楽観視できない。デューデン氏も「他チームもそれぞれ問題を抱えているが、日本は特に大きな打撃を受けていると言っていい。アジア最強軍団は、今夏に相当な努力をしなければならない」と結んでいる。

 予期せぬアクシデントによって、逆風にさらされている日本。メンバー発表会見で「『誰が出ても勝つ、誰が出ても機能する』ということでチームの総合力で戦っていくというところを、このW杯でも結果をもって皆さんに見ていただければと思っている」と呼びかけた森保監督が率いるチームは、ベスト8の壁を打ち破れるか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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