フィギュアスケーターの高橋大輔が、2025年夏公開予定の映画『蔵のある街』で俳優に挑戦することが発表された。

【写真】倉敷出身のMEGUMI、前野朋哉も出演! 映画『蔵のある街』キャスト陣

 本作は、山田洋次作品の多くで脚本、助監督を務めてきた平松恵美子監督がメガホンを取り、地元である岡山県倉敷市を舞台に、倉敷出身のMEGUMI、前野朋哉らの出演陣を迎えて製作される。



 2020年から始まったコロナ禍の中、日本全国、世界各地で上げられたサプライズ花火。医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーへの感謝の気持ちや、今は直接会えないけれど同じ花火を見上げて、必ず元気で再会しようという相手を思いやる気持ちが込められていた。

 倉敷市でも楽しみにしていた行事を奪われた子どもたちのためにサプライズ花火が上げられた。花火を上げた有志の一人が、倉敷出身でこの映画の監督である平松の幼なじみであったことから映画の着想を得て、『蔵のある街』のストーリーができあがっていった。

 製作は平松の同級生や知人たちが作った実行委員会。まる2年をかけ協賛金を募ったが思うようには集まらず、一度は諦めようとしたが諦めきれず、パイロット版を撮影しYouTube公開したことが、企業版ふるさと納税対象事業として本作の選出へとつながった。
倉敷市が事業として映画を選出するのは初の試み。

 倉敷市を一部だけ撮影に使った映画には『ALWAYS 三丁目の夕日』『るろうに剣心』『とんび』などがあるが、全ての撮影を倉敷市でロケし、全国公開を目指す映画は初となる。

 倉敷に住む男子高生・難波蒼はある日、幼なじみの女子高生・白神紅子の自閉症スペクトラム障害の兄が、神社の大木に登って大騒ぎを起こしていたところへ行き合わせる。紅子の兄は幻の花火を見て騒いでいたのだ。蒼は「俺が本物の花火を打ち上げてやるから降りてこい!」と言って騒動を収めた。しかし、紅子は感謝するどころか涙を流しながら怒る。
「自閉症の兄だから、できもしない約束でごまかした。兄は約束を忘れないから、毎日傷つく」。蒼は真実を突かれてショックを受ける。紅子にひそかな思いを寄せていた蒼は、約束を守って花火を上げようとするが、どうしたらいいのか分からない。

 実は紅子にとって「花火」は特別な意味があった。蒼が自分たちのために奮闘し始めた姿に、かたくなになっていた紅子の心が次第に開かれていく。
軽口が本気になり、本気が苦い挫折を生み出し、挫折の中で再び立ち上がる。そんな蒼たちの奔走が徐々に周囲の人びとに伝わるが…。

 キャストには倉敷・岡山出身の俳優たちが集結。

 2010年バンクーバー五輪フィギュアスケートの銅メダリストであり、今もプロフィギュアスケーターとしてアイスショーなど常に新たな挑戦をし続ける高橋大輔(倉敷市出身)は、本作で俳優に挑戦し、映画初出演。蒼たちの相談相手となる美術館の学芸員を演じる。

 高橋は「今回は映画のお芝居ということで、不安も多々ありますが、新しい自分を発見できるチャンスと捉え、出演させていただくことを決意しました。
そしてなにより、僕のルーツである『倉敷』が舞台ということで、とてもご縁を感じております」とコメントした。

 また、女子高生・紅子の母親であり物語のキーパーソンでもある芸術家にはMEGUMI(倉敷市出身)。紅子の自閉症スペクトラム障害の兄という難しい役どころには堀家一希(岡山県美作市出身)。高校生のたまり場ジャズ喫茶の、人のいいマスターには前野朋哉(倉敷市出身)。紅子を見守り、時に背中を押す美術教師役にはミズモトカナコ(倉敷市出身)。

 ほかに櫻井健人、長尾卓磨、平松組常連メンバーとして田中壮太郎、陽月華、北山雅康などが出演。
橋爪功、林家正蔵の大御所2人が作品に深い奥行きと広がりを与える。

 なお、オーディションで主役の座を勝ち取った男子高生・蒼と女子高生・紅子の発表は7月になる。撮影は7月下旬から8月にかけて全編倉敷市内にて行われる。

 映画『蔵のある街』は、2025年夏公開予定。

 高橋、MEGUMI、前野のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■高橋大輔

 スケートを初めて30年という節目の年に、また新たな挑戦をさせていただくことになりました。


 競技人生を終えた後も、アイスショーをはじめ、様々なエンターテイメントに挑戦してきました。

 今回は映画のお芝居ということで、不安も多々ありますが、新しい自分を発見できるチャンスと捉え、出演させていただくことを決意しました。そしてなにより、僕のルーツである「倉敷」が舞台ということで、とてもご縁を感じております。

 平松監督をはじめ、スタッフの皆様、出演者の皆様からお力添えをいただきながら、ご覧いただく皆様の活力となる作品を目指してまいります。

■MEGUMI

 私の大切な故郷、岡山での映画作品に参加させて頂ける事に心踊っています。特別な想いを馳せながら、撮影を楽しみたいと思っています。

■前野朋哉

 読み終えたあと、とても清々しい気持ちになる脚本でした。故郷、倉敷の街並みを思い浮かべながら読み進める物語。登場人物の想いに心を馳せながら、ページを捲るのが楽しかったです。

 僕もかつてこの物語に出てくる高校生たちと同じく、高校生という厄介な時期を倉敷で過ごしました。目の前の現実から逃げ出して、学校をサボって大原美術館に行ったこともありました。今から思うとずいぶん贅沢な逃避行だな、とも思いますが、そんな貴重な街並みや文化に囲まれて過ごせたことに今は感謝しています。

 これから映像化するにあたり、主人公たち高校生があの街を走り、語り、悩み、心を振るわせるのが楽しみでなりません。きっと、素敵な作品になると思います。僕も「希望」を持って取り組みたいと思います。

■林家正蔵

 平松監督の脚本を幾度も読み返しています。

 そのたび どの登場人物に対しても 冷静でいながらも どこまでも優しい視線で描き出す。言葉の ひとつ ひとつに 心ときめきます。

 東京の下町に生れ育った私は 豊かな自然に恵まれた岡山、倉敷には落語の公演で 何度も伺いながらゆっくりと街を巡ることがなかったのですが 台本を読み返すたび倉敷のすばらしさに ふれた気持ちになります。

 しっかりと地に足をつけた芝居でお役を務めたいと決心するとともに 岡山のそして倉敷の魅力をじっくりと肌で感じてみたいと思うばかりです。

 「蔵のある街」。 御期待下さい。

■橋爪功

 すべてを平松監督にゆだねます。

■平松恵美子監督

 故郷である倉敷で映画を撮るということは、最高に嬉しいことであり、一方いい年して苦悩しもがく姿を故郷の人びとに全方位的に見られてしまう、それはそれは最高に恥ずかしいことでもあります。でも、故郷と故郷に暮らす人びとにはいつまでも元気でいてほしい。美しい街並み、豊かな自然、奥深い文化を、誇らしく大切に思うのはもちろんだけれど、同時に、大好きな映画の道に進むことができたのは、この街が私を育ててくれたから。

 この映画に集ってくれた素晴らしいキャストの皆さんと、何度でも観たくなる倉敷発の映画『蔵のある街』を、この夏、精一杯の努力と汗と恥をかきながら作るのだと、わくわくする思いでいっぱいです。