千早茜の同名小説を実写化した映画『男ともだち』が11月6日より公開。主演を松岡茉優が務め、成田凌と7年ぶりに共演する。



【動画】松岡茉優と成田凌が7年ぶりの共演 映画『男ともだち』特報

 原作は、『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞した千早茜が2014年に発表し、根強い人気を誇る同名小説。著者作品初の映像化となる。主人公の神名を演じるのは『勝手にふるえてろ』(17)『万引き家族』(18)の松岡。才能はあるが、身勝手で人間関係に不器用なクリエイターの、孤独や不安定な心情を繊細に体現、30歳を目前に人生に行き詰まるキャラクターをリアルに演じ切る。

 出会ったころからなぜか神名を深く理解している男ともだち・ハセオには『愛がなんだ』(19)や『窮鼠はチーズの夢を見る』(20)の成田。ぶっきらぼうに見えるが、松岡演じる神名に対しては独特の距離感で接する“男ともだち”として唯一無二の存在感を放つ。7年ぶりに再会を果たす神名とハセオと同じく、松岡と成田も7年ぶりの共演が実現した。

 松岡は「この作品を観てくれた方が、大切なものをこれからも大切にできますように。そう祈った作品です」とコメント。成田は「シーンには不釣り合いな虹がかかったり、なぜか昼間に夕日が出たり、面白いタイミングで雨や雪が降ったりと、映画の神様が遊んでくれているような不思議な日々でした」と撮影を振り返った。

 本作は、2026年2月、京都、福井、広島で撮影を敢行。三島有紀子監督が、登場人物の心の奥底にある揺らぎや体温をロングテイクで見つめ続け、その場に流れる神名とハセオの時間をスクリーンに刻む。
2人が過ごす“3つの夜”を通して、清濁が混ざり合った1人の女性の心情をリアルにとらえ、言葉にはできない男女の曖昧で確かな関係性を映し取った。

 この度、本作のティザービジュアルと特報映像が解禁。ビジュアルでは、京都の名所のひとつ蹴上インクラインのまっすぐに伸びる線路を挟み歩く2人の姿が、「私たちは一瞬たりとも恋人同士ではなかった。」のキャッチコピーからも想像させられる、神名とハセオだけの独特な距離感を表現している。

 特報映像では、思いがけない電話をきっかけに、京都で再会を果たした神名とハセオ二人の7年ぶりに動き出す時間が、美しいロケーションの中、甘く、苦く、ひりひりとつむがれていく。愛していないはず。だけど失いたくない。この感情は何なのか――。誰しもが一度は揺らぐ“異性のともだち”への想い。本作では、神名とハセオという唯一無二のキャラクターを通し、そこにしかない男女の曖昧で確かなつながりを描く、“語らずにはいられない”物語が誕生した。

 映画『男ともだち』は11月6日より全国公開。

 ※松岡茉優、成田凌、三島有紀子監督、千早茜のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■松岡茉優(神名役)

 三島有紀子監督とのご縁は15年ほど前、私が担当していたインタビュー番組にて初めてお会いしました。
高校生だった私は「恋と愛の違いはなんですか?」と質問して、監督は微笑みながらも「難しいですね」と、真剣に考えてくれました。今作にて、その結実を迎えられたようでとても幸福に思います。

 神名を演じさせていただいた中で、監督が私と神名を深く信頼してくださっていたこと。日々、眼差しやカット割りから受け取って、温かく感じていました。俳優にとって、監督から信頼されること以上の幸せはあるだろうか、とも考えました。

 期待は、振りかぶって投げすぎたりするけれど、監督の寄せてくれた信頼は柔らかく、激しく、心地よい温もりでした。

この作品を観てくれた方が、大切なものをこれからも大切にできますように。そう祈った作品です。

■成田凌(ハセオ役)

 数年前に三島監督からいただいた言葉と共に、今日まで数々の現場に立たせていただきました。今回改めてご一緒できたこと、とても嬉しく思うと同時に、ハセオという役を通して少しでも感謝をお返しできたらという思いで撮影に臨みました。

 毎日、一日のはじめに監督と一対一で話し合いました。毎シーン撮り終えるたび、安堵のような、過ぎていく時間を惜しむような表情をされている監督の姿がとても印象的で、いつも現場に監督の愛が注がれているのを感じていました。


 シーンには不釣り合いな虹がかかったり、なぜか昼間に夕日が出たり、面白いタイミングで雨や雪が降ったりと、映画の神様が遊んでくれているような不思議な日々でした。

 映画好きのハセオの部屋には、各部署のスタッフが持ち寄った映画のビデオや DVD が大量に飾ってあります。監督をはじめ、全スタッフの映画愛が届けば幸いです。

■三島有紀子(監督)

 男ともだちがいた。
 彼は優しくなかった。酒に溺れ、嘘をつき、女にだらしなく、時々、自分自身すら見失っていた。

 それでも、わたしが世界からはぐれ落ちそうな夜になると、決まって「飯でも食いにいこう」と言って夜明けまで隣を歩いた。

 まるで、それだけで人間は死なずに済むと知っている天使みたいに。
今はもう、この世界にいない。

 千早茜さんの豊かな小説、『男ともだち』に出会った時、人間は、醜く、欠けていて、どうしようもない孤独を知ってるから隣にいたがるのだと思った。

 松岡茉優さん、成田凌さんと、みんなで、京都、福井、そして広島の水辺を漂いながら、壊れたことのある人間たちを見つめ続けた。

 恋人ではない。

 友情でもない。

 もっと名前のつかない、湿った感情についての映画だ。
 そして、自分の人生を新しく描こうともがく業の映画だ。
 たぶん、それこそが、人が生き延びる理由なのだと思う。

 松岡さんと成田さんが歩く姿を早く観てもらいたい。

■千早茜(原作)(映画化決定時コメント)

 映画化の話をいただき、まっさきに考えたのは、この作品を大切に思ってくれている読者のみなさんのことでした。私自身、とても好きな小説が映像化すると知ったとき、複雑な気持ちになった経験があります。

 特に、今回は私の著作初の映画化なので、まずは私の言葉でお伝えしたいと思いました。この文章を書いている現在、私はまだ完成した映画を観てはいません。とはいえ、脚本は何度も確認させてもらい、撮影現場にも招いていただきました。映画の世界を作る現場の方々や監督のこだわりには感動しました。そして、まだお知らせはできませんが、私の敬愛する表現者の方もかかわってくれています。


 文字だけだった私の物語が、たくさんの人たちの手で知らなかったかたちになっていくことを、私自身はポジティブに捉えています。でも、読者のみなさん全員がそうであって欲しいとは言いません。自由に受け止めて欲しいと思いま
す。

 ただ、ひとつだけお伝えしたいことがあります。

 映像化したからといって、あなたの中の神名やハセオが変わることはありません。あなたの中の神名やハセオは、あなただけのものです。私の中の彼らも変わりません。

 その上で、私は新しい神名とハセオに会えることを楽しみにしています。

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