“アイドル戦国時代”と言われて数年。その代表とも言えるAKB48とももいろクローバーZが国立競技場2DAYS公演を実現するなど、このブームは今年さらに勢いを増すことになりそうだ。
そこで、アイドル雑誌「BIG ONE GIRLS」(近代映画社刊)の辻幸多郎編集長に、今年注目しておきたいアイドルについて話を聞いた。

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 世代交代が言われているAKB48。昨年は、篠田麻里子板野友美秋元才加河西智美など初期からグループを牽引してきたメンバーが卒業し、島崎遥香川栄李奈入山杏奈らの次世代エースと呼ばれるメンバーの露出が増えたが、辻氏が注目するAKBメンバーは「なんと言っても“三銃士”と言われるメンバー」と語る。“三銃士”とは、2012年5月に14期生としてAKB48に加入した小嶋真子岡田奈々西野未姫の3人だ。

 すでにファンの間では人気に火がついているメンバーではあるが、今年はメディアへの露出と一般的な知名度もアップしそうだ。
特に小嶋は、今月22日発売のニューアルバム『次の足跡』のジャケット写真で選抜常連メンバーに交じって大抜擢されたことも話題になっており、「この3人は昨年の島崎さんや川栄さんのようにAKB48の新しい顔として露出が増えていくでしょうね」という辻氏。さらに、このAKB三銃士とSKE、NMB、HKTのエースを集めた7人組ユニット「てんとうむChu!」にも注目しているという。

 そして、気になるところはメンバーの卒業だ。大島優子が昨年末の紅白歌合戦で卒業を発表したが、こうした世代交代の流れのなかで、辻氏は「今年は卒業メンバーが増えてくるでしょう。それがグループの新陳代謝を高めてさらに活性化にも繋がってくる」と予想する。

 48グループ全体としては、2月に名古屋ドーム2DAYS公演を行うSKE48が「今、一番勢いがある」と評価する辻氏。
NMB48、HKT48も含めて、これまでの地域に根付いた姉妹ユニットという位置づけから本当の意味で全国区になってくるでしょうね」と48グループ全体のさらなる勢力拡大を指摘。「AKBブームが一段落した」と囁かれることもあるが、こうした世代交代の変化がグループの未来に繋がるのは間違いない。

 もうひとつの代表・ももクロも昨年元日に目標に掲げた国立競技場でのライブを今年3月にAKB48よりも早い日程で実現するなどこちらも勢いがます一方だ。そして、ももクロを輩出する芸能事務所・スターダストプロモーションには彼女たちに続く次世代アイドルクループが多く存在するが、なかでも辻氏は「私立恵比寿中学(略称:エビ中)の動向には注目したい」と語る。

 昨年12月にメジャーデビュー1年7ヵ月という史上最速でさいたまスーパーアリーナでの単独ライブを成功させているエビ中だが、年末に瑞季、杏野なつ、鈴木裕乃の3人がグループからの脱退(転校)を発表しており、辻氏は「3人の脱退がどう今後に影響するのか、そして新メンバーが入るのかどうか…」と説明する。 そして、今年改名したモーニング娘。
’14を筆頭にしたハロー!プロジェクトも盛り返しを見せている。新生・モー娘。によるフォーメーションダンスのパフォーマンスや、Berryz工房嗣永桃子がバラエティ番組での活躍もあってか、モー娘。黄金時代やあややが在籍していた時のように、コアなファンだけでなく一般的にも再び注目されているが、辻氏は、「℃‐uteの存在が大きいと思います。売上的にはモーニング娘。がまだ上ですが、昨年は日本武道館2日間公演を成功させましたし、ライブパフォーマンスには定評がある。
年末ロックフェスにも参加していますし、これまでハロプロのライブには行ったことがないという人をも取り込んで、ハロプロのもう一つの牽引者になるのは間違えない」と5人組ユニット・℃‐uteを評価。ハロプロエッグとして活動してから10年とキャリアは長いが平均年齢19歳と若いのが℃‐uteの最大の武器と言えるだろう。

 その他に辻氏がすすめるひとつがBABYMETALだ。さくら学院から派生した「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成されたメタルダンスユニットで、年末に千葉・幕張メッセワンマンライブを実施。4月には日本武道館2DAYS公演も決まっている注目株で「音楽性がとても評価されていて、純粋なアイドルかどうかは分かりませんが、アイドルファン以外の層からの支持を集めている面白いユニットですね」と話す。

 そして9nineにも注目する辻氏。
2005年にその名の通り、9人で結成。その後、女優として活動していた川島海荷が加入するなどメンバーの変遷があって、2010年12月から現在の5人組に。「苦しい時代もあったと思いますが、最近は楽曲のよさとパフォーマンスの魅せ方に成長が感じられます。夏には結成9年目で行う日本武道館ワンマンライブも楽しみです」。

 “アイドルブーム”と言われるなかで、各ユニットは飽きさせたないために新陳代謝を繰り返し、また多様化したユニットが続々生まれてくる…。日本武道館クラスでライブ興行を行うグループが増えているというのは、CDが売れない時代、音楽業界としてはうれしい動向でもある。
今年も勢いを加速させるこのブーム。アイドルたちの戦いには今後も目が離せない。