同製品名は「PoGo(ポゴ)」(実勢価格1万7000円前後)、日本ポラロイド株式会社から11月20日に発売されたばかり。インク要らずのほか、わずか60秒でプリントできること、12×7.2×2.3cm、227gと小型なのが特徴。カラーはブラックとシルバーの2種類。また、バッテリーはリチウムイオン電池でフル充電時で約15枚プリント可能だ。
インク要らずを実現した秘密は用紙にある。ZINK(ジンク)フォトペーパーを使うのだが、このペーパーにコーティングされた結晶をプリンタヘッドのパルス熱で溶かすことで発色する仕組みになっているのだ。大きさは約5×7.6cm、1枚当り約35~40円程度、裏がシールになっている。
使い方は簡単。用紙をセット後、電源をオン、そして、ピクトブリッジ対応デジカメならUSBケーブルで、ブルートゥース対応の携帯電話なら無線で選んだ画像データを送信すれば完了。あとは自動的にプリンタから写真が出てくるのを待つだけ。
実際に使用してみると、確かに小さくて軽いくて速い。用紙の面を表裏逆にしないこと、スマートシートという用紙をあらかじめプリンタに読み込ませておくこと、この2つを気をつければ事故なく簡単に誰でもプリントできる。用途としては、作品にする本格的な写真プリントというよりは、日記やスケジュール帳などにコメントを添えて貼り付けるといった「画像メモ」として使うのに向いているかも。メーカーも同様な使い方をお勧めしている。
ところで、なぜインク要らずのプリンタを開発したのか。日本ポラロイド社長の伊藤裕太氏は「デジタル時代に対応した新しいインスタント写真を10年以上研究した結果、できあがった製品です」と説明。従来のインスタント写真がデジタル写真に呑み込まれた。そこで同社としては「PoGo」で起死回生を図ったわけだ。だが、初めての試みの製品だけに課題はある。インクを使うフォトプリンタに比べ、画質が劣るのは否めない。これに対し、「今回はスピードやモバイル性を重視した製品。画質の向上については計画中のデジタルポラロイドカメラを含め今後の製品に期待して欲しい」と同氏。
インクを使わない画期的なプリンタとして、まだ生まれたばかり。今後の製品の進化を温かい目で見守っていきたい。
(羽石竜示)