アメリカの作家、ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の短編小説に『睡眠口座』という作品がある。

当時のアメリカでは15年以上使用されていない銀行口座を「睡眠口座」とし、新聞に「告知する習慣があったらしく、主人公が新聞を見て、その人物になりすまそうとするストーリーだ。


これ、全くのフィクションとして読んでいたのだが、実は日本にも「休眠口座」というのがあることを、最近初めて知った。
りそな銀行の「休眠口座」である。

ちなみに、他行でも、長期にわたって利用のない口座が「休眠」状態になり、利用停止などになる場合はもちろんあり、口座を復活させたり、通帳の再発行を必要とする場合がある。
だが、りそな銀行の「休眠口座」の場合、「2年間取引がない口座」が該当してしまい、「管理手数料」がかかってくるらしい。

ってことは、もしかして、知らない間に自分の口座も「休眠口座」になっちゃってたりして?
りそなコミュニケーションダイヤルの担当者に聞いた。

「『休眠口座』は、2年間お取引がなかった口座が該当するものですが、平成16年4月1日以降に新規開設された口座が対象となっております。
そのため、それ以前に開設された口座は、対象外なんですよ」
さらに、該当する条件には、「残高1万円未満」「同一支店で他に定期預金や投資信託などがないこと」「借り入れがないこと」などが加わるという。
つまり、平成16年3月31日までに開設された口座や、残高が1万円以上ある場合には、「休眠口座」にはならないということである。

とはいえ、やっぱり知らない間に「休眠口座」になっちゃうこともあるのでは?
「休眠口座になる3カ月前には、連絡がいくことになっておりますので、『知らないうちに』ということはありません」
さらに、連絡があった後も一定期間取引がない場合には、「口座管理費」として年間1200円の手数料がかかり、その手数料も口座の残高不足で引き落とせなくなった場合には、口座が自動的に解約されるという流れになっているそうだ。

ところで、このような制度は、大手銀行では他にあまり聞かないが、なぜ導入されたのか。
「実際に利用していない口座が多いことがまずあります。そういった口座を改めてご利用いただきたいという促進が1つ。
また、近年は口座の不正利用の防止という意味もあります」
確かに、近年は金融業で「口座の名義貸し」などが行われたり、犯罪に利用されることもある。
そういった意味では、現代ならではのものとも言えるけど……。

「使ってない口座」は眠ったままでなく、多少動かすか、きちんと解約したほうが良いみたいです。
(田幸和歌子)