気にはなりつつも、いざ、足を運ぶとなると、「ムズカしいのかなぁ」と躊躇していたことのひとつに、“講談を楽しむ”というのがあった。

講談とは、太平記などの軍記物から、庶民の生活を綴った世話物などの物語を、張り扇(はりおうぎ)を釈台(しゃくだい)と呼ばれる机に、調子をつけて打ち鳴らしながら語っていく伝統話芸のこと。


そんな折、東京・恵比寿のイベント会場で、若手女性講談師5人ユニットによるお披露目公演が行われるという情報を耳にした。場所は、恵比寿ガーデンプレイス内にある会場で、初心者にも行きやすく、そのうえ、今回は入場料が1000円! という低価格の魅力も手伝って、去る3月29日、足を運んでみることに。

そのユニット「講談女伊達 Japanese Soul Angels」は、師匠や、所属の協会といったくくりを越えて結成された女性講談師5人組。「講談女伊達」のメンバーは、それぞれ「真打ち」を目指す「二ツ目」で芸歴6~10年からなる、神田織音(おりね)さん、神田京子さん、田辺一凜(いちりん)さん、神田きらりさん、そして、神田あおいさん。発起人の神田京子さんいわく、「講談の世界を身近に感じてもらいたい」という想いが立ち上げのきっかけになったそうだ。

本会場では、小学生から学生、着物を着た年配の方々まで、男女年齢立場問わず、様々な人々がつめかけていた。会場の方によれば、8歳!~80歳まで、300人近くの人々が来場したとのことだ。

実際の講談はというと、古典もあれば現代物の新作もありで、語りの内容はもちろん、テンポやリズムの心地よさ、たたみかけるシーンでの語り口の緊迫感や、張り扇を叩く生の音の迫力に、グングン惹きつけられていった。
今回は、“お披露目”ということで、70分というダイジェスト版での公演だったが、自分と同じように、「今回講談が初めての方に、また、一人でも多くの方に聞いてほしい」といったことから値段も1000円に設定されたとのことだ。

当日足を運んだ人々のアンケート集計では、「講談っておもしろい」「もっと講談にふれてみたい」「もっとひとつの話を長く聞いてみたい」といった声も。

所属団体の垣根を越えた、個性や芸風も異なる5人5様の講談を、ひとつの公演で聞けるというのも観客側にとってはうれしい限りだが、ユニットを組んだことによって、メンバー内においても、お互いいい意味で刺激となっているという。一緒になってユニットとしてやっていくことにより、「講談女伊達」におけるそれぞれの役割を認識して、自分のここは生かしていける、ここは改善しなければといったところを再認識したり、とメンバーの中でも相乗効果を生み出しているという。


ところで、現在、関東・関西で活躍している講談師の人数は、70人近くと、残念ながら減少傾向にあるのだそうだ。

「初めて聞く人にとって、講談自体に関心を寄せるきっかけとなったり、今度は講釈場にも行きたくなるような“入り口”に『講談女伊達』がなれることを祈りつつ。そうして多くの皆さんに講談の楽しさを知ってもらって、さらに、講談師を目指そうという方々が出てきてくださるとうれしいですね」とメンバーのみなさん共通の想いがある。

8月と12月には、内幸町ホール(東京・新橋)にて本公演が控えている。「新作も含め、いろいろワクワクする会をやっていきたいと思っていますので、是非足を運んでいただければ」とのことで、講談が好きな方はもちろん、「ちょっと気になっていた」「行ってみようかな」なんて初めての方にもお勧めですよ。
(dskiwt)

*2009年8月と12月に『講談女伊達 ~Japanese Soul Angels~』本公演予定
・『明(メイ)』 8月2日(日)
・『白(ハク)』 12月12日(土)
両公演とも
場所 内幸町ホール(東京・新橋)
開場 18:30 開演 19:00
前売 3000円 当日 3300円 ※チケットの販売は6月予定
詳しくは(有)マジカルワンドへお問い合わせを
TEL:046-870-6522
メール:onnadate@magicalwand.co.jp
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