そして、ここに新たな合体の成果が。その名も「キャベコン」。聞いただけでは、何のこっちゃわからない。
実はこれ、新しい野菜。葉はキャベツ、根はダイコンだから、両者の名前の一部をいただいて、名付けられた“キャベコン”。
それにしても、なんでこんな意欲作を生み出したのか? 開発者である、奈良県フラワーセンター(TEL:0743‐59‐0075)の棚田一治さんに話を伺った。
「二つの植物が合体する植物の不思議さや可能性に触れて、植物に興味を持ってもらおうと考えました」
実は15年程前、キャベツの根こぶ病対策として“大根に接木する技術”が研究機関の「近畿中国四国農業研究センター」で開発されたという。それを知り、触発された棚田さんが平成17年3月に4株の“キャベコン”作りに成功! そして、今に至るわけだ。
では、どのようにつくっているのか? 聞いてみたが、要するに“接木”らしい。
説明すると、キャベツとダイコンの葉の下を水平に切断。そして、ダイコンの上にキャベツを乗せて、接木用チューブで支える。
……と簡単に説明したが、キャベコンづくりはちっとも簡単じゃない。この新野菜、できあがるまでの成功率がすこぶる低いのだ。
今回は150株を接木。しかし、成功したのはたった10株である。なんという、狭き門だろうか!
そんな苦労を経て、育ちあがったキャベコンの味も興味深い。その辺りを聞いてみると「キャベツの味がします。ダイコンの辛みは無いです」(棚田さん)。もう、あっさり断言です。
しかし、花のつぼみが美味らしい。キャベツ部分に花が咲き、そのつぼみを「ナバナ」感覚でさっと茹でて食べると、そこはもう春の景色。
そんなキャベコンは、現在は同センターで展示中。販売をする予定はなく、県民の目を楽しませている模様。
最後に、今後の展望について。実は、キャベコンにつづく新野菜として「ハボコン」(葉ボタン+ダイコン)と、「ブロッコン」(ブロッコリー+ダイコン)の開発を検討中。どちらも8月に播種を予定している。
キャベコンのことを棚田さんは、俳句でこう表現している。
「見て楽し 食べてもおいしい キャベコンは」
(寺西ジャジューカ)