9月になっても猛暑日や真夏日がつづき、今年の長い夏にはほとほと参ってしまう。そんなある日、地場産野菜を売っているお店に行ったところ、緑色のゴーヤーの隣に、同じようにごつごつした白い物体が置いてあるのを発見した。
“白レイシ”の名前で売られていたそれは、形や大きさは見慣れた緑色のゴーヤーと同じだが、色は見事に真っ白。お店の人に聞くと「白いゴーヤー」とのこと。ゴーヤーと言えば夏バテに効くと言われる野菜! 目新しいもの大好きな私はさっそく購入、リサーチしてみることにした。

まずは、白と緑のゴーヤーを食べ比べてみた。生でかじるとやっぱり苦いが、緑色のものよりも苦みが少ない感じがする。苦みを抑えた新品種だろうか?

ゴーヤー(ゴーヤーは沖縄の方言で、和名はニガウリ、ツルレイシ)と言えば沖縄。沖縄県農業研究センター野菜花き班の坂本守章さんに聞いてみたところ、白いゴーヤーは新品種ではなく、もともと大きく分けて、濃緑色、淡緑色、白色の3種類があるとのこと。ゴーヤーに色の違う品種があるとは初耳。日本では濃緑色のものが一般的だが、台湾ではほとんどが白だという。ちなみに、ベトナムやタイでは主に淡緑色のものが栽培されているそうだ。

食べたときに感じた苦みについて聞くと、やはり、一般的に白いゴーヤーの方が濃緑色のものに比べて苦みが薄い傾向があるそうだ。しかし、すべてがそうとは言えず、中には同じように苦いものもあるという。
気になる栄養価については、過去にゴーヤーの色とビタミンC含有量の関係を調べた論文があり、そこでは白い方にビタミンCが多いという結果があるとのことだが、ほかの成分も含めて詳しく分析しないと確かなことはわからないそうだ。

驚いたのは、日本で濃緑色の品種が普及した理由。
「日本人は濃緑色の野菜を好みますよね。色が濃いものは栄養価が高いと思っている方が多いからだと思います」
と、坂本さん。そういえば、色の濃い緑黄色野菜を意識して食べるようにと学校で教わったし、同じ野菜でも何となく濃い方を選んでしまう。普及した理由がそんな日本人の感覚に合ったとは、なんとも興味深い話だ。

それでも最近は、白いゴーヤーの種が販売されていて、物珍しさから家庭菜園などで作る人が増えているらしい。白いゴーヤーが、色の濃い野菜を好む日本人にどれだけ愛されるか、野菜売り場の変化を楽しみに見ていくとしよう。

ゴーヤーはビタミンCやカリウムがたっぷり、苦み成分のモモルデシンは血圧・血糖値の上昇を抑え、整腸作用もあり、暑さに疲れた体にはもってこいの食材。白いゴーヤーに出会ったら、躊躇せずにぜひチャレンジしてほしい。個人的には、白ゴーヤーは、苦みの薄さを生かし、ツナとマヨネーズでさっと和えた簡単サラダがおすすめです。
(ミドリ)
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