なーんて、70年代ロボットアニメ風の魅力的な世界観を持つ「オリロボ」。福岡県在住のアートディレクター・フチモトムネジさんによる、創作折り紙のシリーズです。06年あたりからスタートし、しばらくはネットを中心に知る人ぞ知る存在でしたが、今夏に待望の書籍化を達成。続いてiPhoneアプリ化も実現しました。
「オリロボ」
「オリロボ」の魅力は、なんといってもそのカッコ良さ! フィギュアと見間違うほどの精悍なフォルムです。しかもこれ、1枚の折り紙だけを使って、切り貼りなどをしないで作られているんですよ。「奴さん」と「袴」の組みあわせのように、1枚にこだわらなければ楽なんですけど、安易に「逃げ」は打たない。このストイックさが良いですね。
書籍版ではカラー図版による背景トーリーと、19タイプのオリロボ+5つのアイテムの折り方が紹介されています。これに対してアプリ版では、スタンダードな「オリロボ115」の一種類しか掲載されていません。
でもでもアプリ版では、フチモトさん撮り下ろしの「折り方動画」が見られるんですよ。これはホントにナイスです。というのも「オリロボ」って折り方が複雑で細かく、立体的なんですね。たぶん紙の折り方だけ見ていては、わけがわからず挫折する人が大半だと思います。少なくとも僕は腕の制作あたりで、ギブアップしそうになりました。
これが動画だと非常にわかりやすい。指の動かし方など、きれいに折るコツまでわかります。またフチモトさんの声や、折り方などを見ていると、なぜだか「諦めずに続けてみよう」という気になるんですよ。なによりフチモトさんの作成が、折り返しのフチまでピシッとそろっていて、非常にきれい。この名人芸だけでも一見の価値がありますよ。
というわけで、さっそく僕も「オリロボ115」を折ってみました。
また本アプリであらためて、ハウツー本と動画の相性の良さを認識しました。料理・手芸・プラモデルなど、モノ作りホビー系のムックはすべて作例動画を織り込み、アプリ版とセットで出版して欲しいですね。CD-ROMなどと違い、iPhoneなら手元で見られるので、作業中に手軽に参照できますし。本書には、その先駆けとしての意味もありそうです。(小野憲史)