review

立川談志ーー天才落語家の1日を追ったドキュメンタリー

       
――泣きながら帰りの車に乗り込む師匠の足どりが、かすかにタップを踏んでいたのを私は見た。そのことに気づいたのが私だけというのが、ちょこっと誇らしいのです。(立川志らく『立川流鎖国論』

楽屋入りした談志を、弟子たちが出迎える。当たり前のことだが、一門総出だ。「おつかれさまです。ネクタイしちゃって」と、ひときわよく通る声。高田文夫だ。高田は立川流の創設時に有名人専用のBコースに入門し、立川藤志楼を名乗った。後にBコース初の真打に昇進した(二人目はミッキー亭カーチスこと、ミッキー・カーチス)。立川キウィの顔も見える。キウィは、落語界では前代未聞の前座生活16年という記録を打ち立て(って威張れない)、都合3度の破門を経験して、そのたびに不死鳥の如く甦り、二つ目昇進を果たした。その模様を書いた『万年前座 僕と師匠・談志の16年』が売れたため、その功績が談志に認められ、2011年に真打に昇進することが決まっている。著作で真打を獲得した、たぶん唯一の落語家だ。

落語界の開口一番は立川談修が務めた。
「世界一チケットをとるのがめんどくさい落語会に、よくいらっしゃいました」
と談修が声をかけると、客席がドッと沸く。実はこの日の「立川流一門会」は、談志が休養中に発表した『談志最後の落語論』を紀伊國屋書店新宿本店で買い、はがきで申し込んで当選した人間だけがチケットを購入できるというものだったのだ。談志の出演する落語会は近年プラチナ・チケットとなっていたが、自身はそうした傾向を快く思っていなかったという。志の輔と新橋演舞場で親子会をやった際、チケット価が高騰して6桁に達したと聞いた談志は、開口一番に「××××!(自粛)」「×××××××、マンセー!(自粛)」と叫んで演舞場の気取った客に冷や水を浴びせかけた。そしてかけたネタが「金玉医者」(『人生、成り行き』)。

あわせて読みたい

レビューの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

もっと読む

「立川談志」に関する記事

「立川談志」に関する記事をもっと見る

次に読みたい「立川談志」の記事

次に読みたい「立川談志」の記事をもっと見る

トレンドニュース

トレンドランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る
2011年3月3日のレビュー記事

キーワード一覧

エキサイトレビューとは?

エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。エキサイトニュースは、最新ニュースをすばやくお届け。

その他のオリジナルニュース

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。