女の子ってみんな甘い匂いがして弱々しくってまるでマシュマロから生まれた妖精さんみたいなんだろう!?
なんて言ってたらぶっ飛ばしてきそうな女性ばかり。
そんなヤマシタトモコの短編集『ミラーボール・フラッシング・マジック』

ヤマシタトモコは『HER』「このマンガがすごい!2011」オンナ編1位を取った漫画家だ。

ヤマシタトモコの描く男はなんというかそわそわビクビクしている。
まるで鏡をみているようだ。ミラーボールだけに。(あれ? あんまうまくねぇや)
たとえば最初に収録されてる「うつくしい森」。
美術の美人教師が好き(かもしれないっぽい)主人公。
先生と話す時や先生の事を考えると思考が空回り。
頭の中で「……この人って…… あれ なんか」「う なんか」と繰り返すだけ。
もう脳みそが「あれ」と「なんか」を生み出す道具になっている。

女の方はもうガッツリ。カッサカサだ。
肉食系というか化けの皮ズル剥け女子。
オブラートもクソもない。
特に最後に収録されている「エボニー・オリーブ」は超グータンヌーボーなお話。
おしゃれな店に集まって「あーもー自家受粉したーい」とか「なにそれーむかつくー平林FUCK」なんて言う女子たち。
FUCKって面と向かって言われるより陰で言われてる方が辛いのな。

ヤマシタトモコの男女の描き方は全然違う。
短編集なので男が主役だったり女が主役だったりとストーリーは多種多様。
女が主役の時は「友達の彼氏が得体が知れなくて心配だ」とか「好きな男が結婚してしまう悲しみ」などのわりとシリアス展開の話だ。男に振り回される女の奮闘。
それに対して男が主役だと「あの人にもわき毛って生えてるのかなぁ……」「おっぱい揉みたい」となってくる。妄想に振り回される男の煩悩。
恋愛を軸とした話ばかりなのに男と女でこうも違うものか。
「もしかして作者違うの? ヤマシタAトモコとヤマシタFトモコが居るんじゃないの?」
そんくらい違う。

これじゃまるで男が馬鹿みたいじゃないか!

「いつかあなたの不思議なおっぱい」では
あの人のおっぱい揉みてぇなぁ。それが駄目ならあの人の娘が中学生くらいになったら揉ませてくれねぇかなぁ。そしたら禁煙しようかなぁ。
なんてストーリーだ。
お前はおっぱい以外の事考えられないのか!
女は上書き保存、男は名前をつけて保存。なんて言うけどこいつのHDDはおっぱいフォルダだらけだよ!
こいつエロいフォルダをしっかりジャンル分けするタイプだ。

これじゃあんまりにもあんまり。
ここは男の代表として言わせてもらおう。
おっぱいは……良い、と。
揉んで揉んで揉まれて揉んで、揉んで揉み疲れて眠るまで揉みたいよ。

なぜヤマシタトモコは女を強く、男を頼りなげに描くのか。
ギラギラと女性を求めるのはカッコ悪い、恥ずかしいと思ってるのに女にモテたい!
今どきの男子はそう。

それに対して今どきの女子。
ベタベタと男性に近づくのはカッコ悪い、みっともないと思っている。でもやっぱモテたい!
そう、男も女も根っこは同じなのだ。
だったら男がカッコ悪くなりなさいよ! と。
私達は全然ウェルカム状態なのに男が駄目だからモテないのよ。私達は悪くないのよ。
男ってほら、こんな感じで頼りないじゃない?
私達はオンナノコですもの、おしとやかに花のように待っているわ。
さぁ蜜を吸いに来なさいよ悪い虫ども!

っかー!
女ってそうだよなー、そうなんだよなー。
これはヤマシタの男に対する宣戦布告である。
立ち上がれ男子諸君!
情熱という武器と、愛という盾で恋という戦争に臨むのだ。

え、僕?
僕はいいよそういうの。誰か先に行きなよ。

ほら、戦争とかガラじゃないし。
あー、引越しのとき大家の手違いで美少女と一緒に住む事にならないかなぁ。
(渡りに船)
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