毎年この番組に関しては、主にネット上でチャリティ番組としてのあり方について賛否両論交わされています。しかし番組の根本についてどう言われようと、出演者本人たちはただ目の前のことにひたむきで、ひとつの番組を確実につくりあげようとただ真面目に取り組むのみ。生で見るとよりいっそうその姿勢を感じずにはいられませんでした。
仕事をする嵐は5人5色。逐一台本をめくっては構成をチェックする翔くん。隙のない笑顔でCM中も常にONの姿でいる相葉くん。スペシャルドラマの共演者、上戸彩に自ら近寄っていき打合せを行うニノ。タカアンドトシや間寛平、新垣結衣やゲストなどに気軽に話かけて場を和ませる潤くん。そして、慌てることもなまけることもなく、ひたすらマイペースで確実に役割をこなしていく大野くん。それぞれメンバーの得意分野を熟知しているからこそ、誰かがその領域に割り込むこともなく、無理してでしゃばることもなく、いつでもナイスバランス。呼吸をするのと同じようにいたって自然に、場の空気とメンバーの状態を察知できている感じ。
昨年の関ジャニ∞の24時間テレビも観覧してきた私が感じたのは、“静と動”という違い。「ヨッシャやってやるぜ!みんなで盛り上がっていこうや!」と気合十分、CM中も客席や募金列に向かって声をかけつづけ、会場中が前のめりになる空気をつくりあげた関ジャニ∞。対照的に、もちろん気合十分でありながらも「僕たちしっかりやるんで見といてください」というような、ステージと客席に一線をおかれたような感覚だった嵐。CM中なども客席への声かけやコミュニケーションはなく、観覧者としては、粛々と番組づくりに徹する嵐の仕事を見届けるのみ。楽しみといったら、CM中やVTR中に時折見せる素っぽいところを探していくことです。
時折見せる素っぽいところといえば、隣に並ぶ相葉くんにさりげなく水やフリスクを渡してあげるニノや、大野くんのVTRに登場した少女が「大野くんより櫻井くんの方がよかった~!」と言い放つ姿に爆笑しながら、隣の空いているイスをゴキゲンでグルングルンまわす翔くんなど。
嵐の仕事モードにおされて、空気を読まずにキャーキャー歓声をあげるファンはいないけれども、「みんな我慢しているんだなぁ」と感じずにいられない瞬間が時折訪れます。サッカーの試合VTR中、「さぁここで櫻井にボールが渡った!」というナレーションだけでもザワザワっ!大野くんが海辺を歩くVTRで、防波堤に片手を添えてひらりと華麗に飛び越えたその一瞬のシーンでザワザワザワっ!!おさえきれず「あっ」とか「ひゃぁ」とか小声でつぶやく声が集まって不思議なザワめきが生まれていました。
21:00過ぎ、テレビがドラマ枠に入るのと同時に武道館からの初日分生中継は無事終了。「本日は番組にご協力いただきありがとうございました」と羽鳥アナからアナウンスされる中、スタッフが一層慌ただしく動き始めます。そう、去年に引き続き今年もありました!武道館に集まった観覧者だけにお届けされるサプライズコンサート!
帰ってよいのかまだ何かあるのか…とザワザワが止まらない中、武道館メインステージから会場中央に伸びる花道が組みあげられ、その先端にセンターステージが設置され、周囲には可動式ライトがどんどん設置され…と、10分もたたないうちにプチコンサート会場の完成。
「大好きな嵐の皆さんを前に、歓声をおくりたいところを我慢して、マナーよく観覧していただきありがとうございました。ご協力いただいたお礼に…、嵐の皆さんから、歌をお届けします!」
「キャーーー!!」
生放送中の何とも言えない緊張感から一転。場内は総立ち、ペンライトやうちわが揺れ大歓声のコンサート会場に。ようやく叫べるー!各々大好きなメンバーを呼ぶファンと、先ほどまでとうってかわって会場中に笑顔で手を振る嵐。嵐の気持ちの矛先が「番組づくり」ではなく「ファン」に変わり、壁が一気に取り払われた瞬間。
披露した曲目は、ロンドンオリンピックテーマソングの「証」と、「サクラ咲ケ」の二曲。メンバー誰かがほんの数秒手を振っただけで、振られた方の客席からは信じられないほどの悲鳴があがる。翔くんは、どうやらお気に入りのボルトの指さしポーズを何度も披露。またその度に悲鳴。これぞまさに焦らしプレイ!もちろん私もメンバーに手を振られる度に、黙っていた時間分をとりもどすかのようにキャーキャー騒いで歌って踊ったのでした。
仕事するとこきっちりして、収録終わったら切り替えて、存分にはっちゃけて歌って騒いで双方満足!全部含めてやっぱり安定で安心で完璧だった嵐。
そんな嵐を見てきたからこそ、番組のあり方自体への意見が飛び交うこの数日間はちょっと複雑な気持ちでした。やる側はいつだって真剣。バックアップするファンもたくさんいる。この膨大でキラキラとしたパワーを最大限に活かせる番組に、もっともっと近づいていけたらと願うものです。(夏トマト)