幼少期のクリスマスの思い出といえば、どんなものを思い浮かべるだろうか? キリスト教の幼稚園に通いながら「サンタさんはいないんだよ! なんでみんな信じてるの?」などと吹聴して回っていた可愛げのない筆者にとって、両親がサンタに扮して用意したプレゼントよりも記憶に焼き付いているものがある。それが、毎日ワクワクしながら「窓」を開いた「アドベントカレンダー」だ。


今日は何がでてくるのか? そんな小さな楽しみが毎日に彩りを添えてくれるのが好きで、今でも毎年12月を過ごすうえで欠かせないアイテムとなっている。でもこの習慣、一体いつから存在するのだろうか? その歴史には、さまざまな起源があるようだ。

【アドベントカレンダーとは?】


クリスマスシーズンを彩るものとして日本でも定番となった「アドベントカレンダー」。クリスマスまでの期間をカウントダウンし、その到来を祝うために使用される特別なカレンダーだ。ノルウェーやデンマーク、スウェーデンなど北欧の国々では、これを「ユール・カレンダー(Julekalender)」と呼んで親しんでいるという。

アドベント(Advent)とはイエスキリストの降臨(降誕祭)を待ち望む期間(待降節)を意味し、クリスマスまでの約4週間のことをいう。アドベントカレンダーは、カレンダーに設けられている数字の書かれた「窓」を毎日ひとつずつ開けていき、このアドベントの期間を過ごすというものだ。
通常12月1日から24日まで24個の窓が付いていることが多く、すべての窓が開かれるとクリスマスが迎えられるという仕組み。

「窓」を開けると、クリスマスに関連したイラストや詩が書かれており、キリスト生誕のストーリー仕立ての内容になっていることもしばしば。なかには、「窓」のなかに小さなプレゼントが入っているものや、チョコレートが入っているもの(参考:アドベントカレンダー クリスマスツリー 60g /Amazon)など、バリエーションも豊富だ。クリスマス当日、「窓」を開くと一体何が入っているのかと心待ちにしながら12月を過ごしていく。

【起源はいつなのか?】


そんなアドベントカレンダー、一体いつから登場したのだろうか? これについてはさまざまな起源が指摘されているが、たとえばキリスト教の信仰がある家庭で24日間小さい絵を壁にかけた風習や、クリスマスイブまでの間、毎日チョークでドアに印をつけたという伝統などが知られている。

またオーストリア・ニーダーエスタライヒ州にある州立博物館は、印刷された最古のアドベントカレンダーは1903年にハンルクで印刷されたものだとしている。他にも、レイター・ラングという人物が1908年に作った「クリスマスカレンダー」をその起源とする説もある。
これが最初の印刷されたアドベントカレンダーだと言われているが、この段階ではまだ「窓」が付いていなかったようだ。その後、20世紀の初頭にラングが最初の「窓」付きアドベントカレンダーを生み出した。

ラングがアドベントカレンダーを生み出したちょうど同時期に、サンクト・ヨハニス印刷会社もまた、宗教的なアドベントカレンダーを生産しはじめたという。これは「窓」を開けたときに、絵ではなく聖書の詩が載っているカレンダーだったようだ。

【キャンドルでもカウントダウンを】


この他にも、1851年に手作りで作られたカレンダーを世界でもっとも古いアドベントカレンダーとする説や、アドベントカレンダーの当初のスタイルとして「アドベントキャンドル」を起源とする説も。

「アドベントキャンドル」とは、クリスマスの4週間前から毎週日曜に1本ずつキャンドルに火を灯す風習のことで、この時に使われるのが5本のキャンドルを立てることができる「アドベントリース」だ。


そんな歴史あるアドベントカレンダー。クリスマスプレゼントのプレ・プレゼントとして、子供や家族、友だちにプレゼントしてみるのも一興だ。12月は、ぜひアドベントカレンダーと共にクリスマスまでの期間を楽しんでみてはいかがだろうか?
(はなふさ ゆう)