
ついに、希(土屋太鳳)と一子(清水富美加)のカップツイーツ対決開始!
希のケーキのテーマは「ちょっぴりハレの日」、一子は「幸せ貧乏家族」。
一子のテーマは、希がロールケーキ大会に出場したときのテーマのパクリ。
希に初心を突きつけているようにも思えます。
95話は脚本と演出が鮮やかに決まり、まるで負け続けていた試合でようやく
点が入った気分。
真っ正面から闘うことでなんか伝わるんじゃないか
まずは、一子と洋一郎(高畑裕太)。
意地を張っている一子に、仲間のことや、自分が彼女をずっと好きでいることをひたむきに伝えようとする洋一郎。
彼女が張った結界を飛び超えて(その火を飛び越える「あまちゃん」を思い出します)、一子を救おうとする洋一郎でしたが、
DVD から流れてきたのは・・・
約2分間のシリアスなやりとりが水の泡で、その前に、圭太(山崎賢人/崎の大は立)とみのり(門脇麦)と一徹(葉山奨之)が、洋一郎のことを心配していたとおりになったわけですね。洋一郎、良くも悪くも期待を裏切らない。
希のほうでは、大輔(柳楽優弥)が現れて、以前能登に行ったときに聞いた、希のことを嫌っているはずの一子の意外なひと言を伝えます。
一子がもつ思考が95話のラストと今後の展開に関わってくる仕掛け。
そして、希と一子が闘いの準備をしているところに、高志(渡辺大知)がライブで歌う、例のラブソングがかかり、一子の顔、洋一郎の顔、電話するみのりの顔、みんなで撮った写真、一徹がみのりの頭をなでる仕草! 希の顔、圭太との電話のやりとりの音声、圭太の顔と「真っ正面から闘うことでなんか伝わるんじゃないか」という名言(結局、大輔、やっぱりかませ犬的じゃん・・・)などが連なっていきます。
カップを見ている希の後ろ姿で彼女の顔を見せない選択は、その前までかなり俳優たちの迫真の表情をアップで切り取って繋いでいた分、急に顔が見えないことが映えるし、想像力をかき立てます。
一子と洋一郎の、肝心なとこでだらやな〜とまんで切ない2分間と、この青春PVふうの1分間は、西村武五郎が思う存分得意技を発揮して演出しているようです。
清水富美加と高畑裕太の芝居が実に真摯で胸を打ちます。
希と大輔のやりとりも良かったな。
毎日、こういうのが見たいな。
ところで、ふと気になったのは、いつもわいわい大騒ぎの能登のターンには珍しく、みのり、圭太、一徹の3人しか出てこないこと。一徹が「圭太とみのりは行かんが、東京?」と聞いているってことは、大人たちは大挙して東京に向かっているのかしらん。
今日の、さりげな名場面
一子と洋一郎、希と大輔に追随するコンビプレーが、浅井(鈴木拓)と弥生(福田彩乃)。
一子と希、どっちが勝つか「勝ち負けは売り上げで決まる」などとおしゃべりしながら、お客さん(審査員)に「マ・シェリ・シュ・シュです〜」と愛想をふりまく間合いが巧いのは、ふたりとも笑いを仕事にしているからなのでしょう。安心して見ることができました。
(木俣冬)
エキレビ!にて月~土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))