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今夜金曜ロードSHOW「平成狸合戦ぽんぽこ」「左」の高畑勲だから描ける真実、滅びのリアル

多摩丘陵の乱開発と化け狸、二つのリアリズム


高畑監督いわく、『平成狸合戦ぽんぽこ』は総天然色漫画映画。もともと杉浦茂氏の『八百八だぬき』の原案から走りだした企画でもあり、人目のない場所では二本足で歩き、「化け学」で合体して巨大じゃんけんする狸たちは、昔の「テレビまんが」然とした表現です。
一方で、多摩丘陵のリアル描写は容赦なくガチ。山林が切り崩されてハゲ山に変わる過程を刻々と描き、狸もネズミを捕食して四本足で走る獣そのもの。車にひかれた凄惨な死体もしょっちゅう出てきます。
死臭も漂う現実と、狸が腹鼓を打ったり妖怪に変化する漫画チックな表現。リアリティレベルが違いすぎる二つが混じってていいの?
いえいえ、どちらも高畑監督にしてみれば「対等のリアリズム」でしょう。
過激派タヌキによる作業員の殺害にはギョッとしますが、それは「化け学を使う狸」が多摩丘陵の乱開発と地続きである証拠です。
多摩ニュータウンのそれは写真的なリアル。そして狸の能天気さや無軌道っぷりは「滅び行く抵抗勢力」の歴史を凝縮した観念的なリアル。笑う門には福来る、夢はいつかは叶う。そんな前向きさが少しずつ削り取られ、溶けるように消える様は「どこかで見た」ものです。
狸たちが負けた原因は、第一に呑気さや甘い見通しにある。騒ぎを起こせば人々は開発を白紙撤回してくれる、現場に来る作業員を追い出せば諦めてもらえるだろうと。せっかく政治家に入れ替われる変身術や、電車を脱線させられる幻術を持ちながら、長期的な見通しや計画性がなく、やがて運動は求心力を失って切り崩されていく...続きを読む

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