脚本:中島丈博 演出:西本淳一

これまでのお話
異母姉妹ではあるけれど、23歳と18歳になっても同じ部屋で寝るくらい仲の良いぼたん(黛英里佳)と美輪子(逢沢りな)だったが、美輪子にボーイフレンド・多摩留(戸塚純貴)ができてから、関係がぎくしゃくしだす。
女の喜びを知り、どんどん先にいってしまう美輪子に苛立つぼたん。
美輪子は激怒し、姉妹の仲はますます悪化。
顔芸バトル、はじまった
元・妻・世奈子VS今妻・眞澄
世奈子の娘・ぼたんVS 眞澄の娘・美輪子
母娘二代に渡る女のにらみ合いが、顔芸ドラマの最高峰「下町ロケット」を凌駕する勢い。
でも、待て。
思わぬ伏兵がいた。
崑一(岡田浩暉)だ。
猛母・カオルコ(鰐淵晴子)が亡くなってからは、自由の身になったように女遊びをしているらしいと眞澄に疑われている崑一。じっさい、アニマル柄のアウターにショートパンツの若い女の子を呼び出したりしてる。
それだけなら、世奈子が「くだらない」とあしらう程度のことだが、そうでもないのは、崑一、性癖がやばいのではないか疑惑。
美輪子が、彼氏と体験してしまったことを知ったときの、彼女を見る眼。
そこまで寄るかというほどのドアップの眼、その後、崑一の視点カメラは、彼女の膝頭へ。うわ、きもい。
そこに至るまでの、崑一のやばさを今一度振り返ってみよう。
妻とふたりの娘のいるリビングに入って来ると、
「ただいまー ははは」
眞澄からピアノのレッスンをやめさせたという話を聞かされると、
「ほう ほほほ」「そりゃそうだ あははははは」
などと、余韻のように笑い声をこぼしながら、ちらと美輪子を見る目のドアップ。そして、美輪子の膝頭にカメラズームイン!
ゴクリという音が聞こえそうな崑一の口元。
それから、椅子に座っている崑一が引きで映るが、息づかいが荒くなっているのが画面から強烈に感じられる。岡田浩暉熱演。
これじゃあ、美輪子も、父は自分の経験を知っているとわかるってもの。
お父さんの趣味が気になる
でも、甘い。単に、娘のことを心配しているわけではなさそう。
その後、「聖女に見えた」
「朝露をふくんではなひらいた美しい薔薇に見える」と美輪子を讃えるのを聞いても、若い女の子好きなんじゃ疑惑は確信に変わっていく。
そういえば、眞澄も美山加恋時代は、かなり夢中だった。
とすれば、伊藤かずえのような熟女に成長してしまった眞澄には欲情しないのは無理はない。
崑一の、後を引く笑い声と、ねっとりした視線と、いやにボリュームのあるもみあげは、女のにらめっこよりも、多摩留の「まるで皆既月食みたいじゃないか、世の中真っ暗になっちゃうよ」というぶっ飛んだ台詞よりも強烈だ。
そもそも、世奈子と眞澄も、崑一をはさんでいるから、ピリピリするのだ。
女たちを不安定にさせている諸悪の根源は、崑一なのかも。
ってことで、急速に性欲強そうな風貌に変化している(最初はあんなに紳士だったのに)崑一役の岡田浩暉が、ボタバラ、ドロドロレース、一気に先頭に走り出したか。
(木俣冬)