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作家になったのは永六輔を見返すため? 野坂昭如『マスコミ漂流記』

       
作家になったのは永六輔を見返すため? 野坂昭如『マスコミ漂流記』
野坂昭如『マスコミ漂流記』(幻戯書房)。70年代に小説誌で連載され、野坂85歳の誕生日に初めて書籍化された自伝的エッセイ。本書刊行から2カ月後、野坂は死去する。

野坂の自伝的エッセイ『マスコミ漂流記』(幻戯書房)には、彼がいかに永に対してコンプレックス、対抗心を抱いていたかが赤裸々に書かれている。野坂に言わせると、永六輔は行く先々で待ち構えていて、こちらを蹴飛ばす「ありがたい存在」であった。かつて野坂と「ハトヤ」をはじめCMソングを一緒に量産した作曲家のいずみたくも、雑誌の世界へとつなげてくれた編集者の中原弓彦(のちの作家・小林信彦)も、いつのまにか永六輔と一緒に仕事するようになっていた。野坂にしてみれば恋人2人をとられたようなもので、野末陳平との漫才コンビ結成も、それでヤケを起こしての行動であったらしい。

しかし漫才は先述のとおりさんざんな結果に終わり、野末と勉強し直そうと本場・大阪に行ったところ、ちょうど自作ミュージカルの公演中だった永が颯爽と劇場前に現れる姿を見て、すっかりやる気を失ってしまう。

このころの野坂が作詞した曲に「おもちゃのチャチャチャ」がある。これはもともと1959年、開局まもないフジテレビのコント番組のために書いたものだ。作詞者にしてみればまったくの使い捨てのつもりだったが、のちに作曲者の越部信義がNHKから童謡の作曲を委嘱されたとき、何曲か書き下ろしたなかにこの旧作をまぎれこませたおかげで陽の目を見る。この歌で野坂は1963年にはレコード大賞童謡賞を受賞するのだが、このとき大賞をとったのは永の作詞した「こんにちは赤ちゃん」(中村八大作曲)だった。

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