
102話はこんな話
明治21年、加野銀行開業。あさ(波瑠)は気合いを入れて洋装にイメチェン。
3年後には、銀行は大阪で10本の指に入るほどに成長する。
新次郎も次第に大阪財界の顔となっていく。
「歩く」をうまく使う
洋服だと大股で歩くのも楽々。
新次郎「わても歩こう」
あさ「へ、歩きましょ」
という会話のあと、颯爽と新しい挑戦に向かって歩いていくあさ。
その姿に感嘆の声をあげた雁助(山内圭哉)は、
「お母さんの働いてはる姿よく見ときなはれや」と千代(鈴木梨央)に言い残して去る。働く姿とは、あさの歩みである。「働いてはる」じゃなくて「歩いてはる姿」でもよかった気がしないでもないが、それはともかく、雁助もまた、新しい場所へと歩いていく。まるで、舞台の花道を去っていくみたいだった。
それから、「わても歩こう」と言った新次郎も、商売の道を着実に歩いていることが語られる。
こんなふうに、脚本の筆運びがじつになめらか。
16週の五代の死と同じく、金曜日に大きな盛り上がりをもってきて、土曜日は穏やかなエピローグ、そして、新キャラ(成澤泉/瀬戸康史)なども登場し、新しいターンへと移っていく。
3年が経過して、銀行をはじめ商売は順調だが、だいぶ成長した千代(小芝風花)との仲がうまくいってないところで、玉木宏が思い切った変顔を! 玉木宏もノリに乗っている感じ。
うまいといえば、脇役のキャラ立て。
「へぇ」ばかり言うへぇさん(辻本茂雄)が目下注目されているが、「ほんにほんに」しか言わないのは、かの(楠見薫)だ。
なかなか見せ場のない奉公人たちに、口癖の特徴を与えることで、印象に残る気配り。味気ない説明台詞の係にさせられるより、巧い俳優なら、「へぇ」や「ほんにほんに」で充分、面白く見せることができる。俳優を信頼し、大事にしている脚本だ。
さて、雁助が去り、残ったうめを見ていたら、主題歌「365日の紙飛行機」を、うめのための歌に替えたくなった。
「ずっと見てるうめ(夢)は
私がもうひとりいて
やりたいこと好きなように
自由にできるうめ(夢)」
(木俣冬)
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