7月18日から放送スタートした火曜ドラマ『カンナさーん!』(TBS系)。
浮気・マザコン・優柔不断のクズ夫・要潤)に注目が集まった第1話は、平均視聴率12.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と好調な滑り出しだった。

「カンナさーん!」1話「ここはパパの出番です、ママさんの出る幕ではございません!」ムカーッ
深谷かほる『カンナさーん!―ドラマ化スペシャル』(集英社)

第1話あらすじ


仕事、家事、育児に毎日全力で取り組むパワフルなママ・鈴木カンナ渡辺直美)。愛する夫・礼と息子・麗音川原瑛都)と幸せに暮らしていたはずだった。しかし、麗音の誕生日に礼の浮気が発覚。カンナは離婚を言い渡すが、寂しそうにしている麗音を見ると決心が揺らいでしまう。

佐藤隆太にしかできない「ウザいパパ」


「パパとケーキ食べる」と待っていた息子を気にも留めず、元カノの真理シシド・カフカ)と浮気をして帰ってきた礼。カンナに謝るために両親を引き連れてきた上に、謝らずに「浮気じゃない、本気なんだ」と宣言する始末。
SNSでも「胸糞悪すぎる」「どこまでクズなんだよwww」「カンナさんと保育士の青ちゃん先生工藤阿須加)がくっつけばいいのに」と、クズ夫・クズパパっぷりに非難ごうごうだった。

保育園でのパパ友として登場したパパ・輪島佐藤隆太)もすごい。
若手男性保育士の青ちゃん先生に「こどもたちのためだろ? もうテンション低いよ、青ちゃん先生~!」と休日出勤の早出を強要。
「こどもたちがパパと思いっきり汗をかいて遊ぶ!」「パパとしかできない遊びもありますからね!」と、男性の身体性優位をことさらに主張する。
ドッジボールに参加するカンナを「ここはパパの出番です、ママさんの出る幕ではございません!」と、ニヤニヤしながら一蹴する。
ウザい……! この世界にはなんか嫌な感じのパパしかいないのかよ。

佐藤隆太が得意とする明るい熱血キャラクターは、それが善人役だとしても、根暗人間には暑苦しく押しつけがましいと感じてしまうことがあった。それは、見る側の「明るい人に対する引け目や後ろめたさ」のせいであり、佐藤隆太のせいではなかったと思う。

しかし、今回はその佐藤隆太の「押しつけがましさ」を悪役・輪島に乗っけてきた。明るい人に引け目を感じるタイプの人間以外の人にも「ウザい!」と感じさせたのだ。
基本的に善い人であり、だからこそ悪い人でもあるというバランス。佐藤隆太にしかできない良い役だった。
ゲストキャラなのだろうか。普段そういう人に文句が言いづらいので、もう1回くらいドラマ内で思いっきりウザがらせてほしい。

雨降っても地を固めないのはサレ女の意地


もう1人、さらにウザかったのは礼の母でカンナの姑・柳子斉藤由貴)だ。
カンナに浮気について謝りに来た礼をよそに、姑がしゃべるしゃべる。

「カンナさんももしかして、ちょっと悪いところがあったんじゃないかなって」
「じゃあカンナさんは、自分のこと自信を持って『完璧な妻だ』って言える?」
「世間のご夫婦見てごらんなさいな。みんななんやかんや、根性根性で続けていってるんだから~」
「離婚なんかしたら麗音ちゃんかわいそうじゃない。あなたは、逆立ちしたってパパの代わりにはなれないんだから」

浮気された妻がそれを誰かに相談すると、絶対に言われることを全部乗せで言ってきた柳子。地雷踏みまくりである。
いくら口では「離婚する」と言っていても、柳子の言ったようなことは、言われる前に浮気された妻本人が何度も自問自答しているものだ。
そして、自責の末に我慢して再構築を選ぶ人も大勢いる。

でも1話のラスト、カンナさんは礼に「離婚してください」と別れを突き付けた。雨が降る中、礼がカンナを助けに来て「雨降って地固まるという演出か?」と思いきや、である。
自分を信じることと意地で定石を裏切っていくカンナの姿に、特に自責の念が強い人は励まされるのではないだろうか。
第2話では、カンナ自身が仕事で大失敗をしてしまう。また自分を責めることになりそうだが、どう乗り越えてくれるか。仕事で失敗続きなので、ぜひ励まされるために見たい。

第2話、今夜10時から


最後に一つだけ、言っておきたいことがある。
カンナさんがドッジボールで頑張っているときに「ぃやったー!」と腕をブンブンさせて喜ぶ工藤阿須加さんが可愛いからみんな見てくれ。ずっとヘラヘラしていたのに、そこだけこぶしの握りが力強く腕の血管が浮き出て、“男”を見せてきたギャップがとても良いです。

7月25日(火)よる9時59分まではTVerで、それ以降もAmazonビデオのTBSオンデマンドなどで第1話を見ることができる。
第2話は、7月25日(火)よる10時から放送予定だ。


(むらたえりか)

火曜ドラマ『カンナさーん!』
毎週火曜 よる10時
出演:渡辺直美、要潤、川原瑛都、斉藤由貴、ほか
原作:深谷かほる『カンナさーん!』(集英社)
脚本:マギー
演出:平野俊一、国本雅広
プロデューサー:千葉行利、有賀聡
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