第4週「始末屋のごりょんさん」第20回 10月24日(火)放送より。
脚本:吉田智子 演出: 東山充裕

20話はこんな話
藤吉(松坂桃李)の実家・北村家の女中として働くことになったてん(葵わかな)。過酷な仕事を、持ち前の明るさで切り抜けていく。
さあ、朝ドラ名物“嫁いびり”がはじまった。
といっても、本格的な嫁いびりは3年ぶり。
前作「ひよっこ」(17年)は主人公が嫁に行くところまで話は進まず、その前の「べっぴんさん」(16年)は主人公が婿養子をもらい、さらに前の「とと姉ちゃん」(16年)は生涯独身ヒロインで、このところ嫁いびりは影を潜めていた。
2年前の「あさが来た」(15年)まで遡らないと嫁いびりはない。それも主人公の姑は天然できつくなく、
主人公の姉の嫁ぎ先の姑(萬田久子)がきっつい人だった。
ヒロイン(主人公の嫁)が姑(泉ピン子)にいびられるのは「マッサン」(14年)、ちょっとひねって、小姑(キムラ緑子)にいびられるのが「ごちそうさん」(13年)で、嫁いびりといえばコレというくらい鮮烈なものだった。
というわけで、久しぶりの嫁いびり。
姑・鈴木京香(啄子)対 葵わかな(てん)の戦いはいかに! べべんべん(三味線の音を想像してください)
「あらあら今度はまるでシンデレラです」とナレーション(小野文惠)が言うように、てんは、始末屋の姑に冷たくされる。
背の届かないところの蜘蛛の巣をとらされたり、
石鹸を使わず洗濯物をさせられたり、
食欲をなくさせるために、漬物のニオイのする場所で食事させられたり。
ただ、てんは暗い顔をすることなく、あっという間に、状況を楽しいものに変えていく。
着物の継ぎ接ぎには、刺繍をしてみたり、
漬物には生姜を使ってニオイを消したり(生姜も料理に使える)。
育ちがいい分、料理や裁縫など花嫁修業的なことはちゃんとやらせてもらってきたのだろう。
最初は冷たかった使用人たちは、てんのペースに巻き込まれ、笑い声を立てる。
「ここへ来てはじめて笑った」みたいなことを言う人まで。
陰湿ないじめられエピソードが描かれず、ホッ。
藤吉は大丈夫か
苦労するてんを、ごりょんさんをガブ化した絵などを描いて笑わせるなどして、励ます藤吉。
松坂桃李、若旦那ふうないでたちがお似合い。やっぱり放蕩息子とはいえ、ぼんぼんが板についていて、旅芸人のような奔放な感じは無理があったのだろうと思わせる。
そうはいっても、お母さんがかなりキツイのがわかっていながら、てんを家に連れて来るっていうのはどういう神経をしているのか。自分が笑わせたら済むと思っているとしたら相当鈍いというかなんというか・・・。
陰湿ないじめられエピがない代わりに、藤吉の頼りなさにイラッとして、結局ストレスになるのですが、なんとかならないものでしょうか・・・(松坂桃李さんが悪いわけではありません、役の話です)。
トキがやって来た
てんを心配して京都から女中のトキ(徳永えり)がやって来た。
ところが、仕えるはずのてんが女中の格好をしていて驚く。
かくして、女中の女中という謎の関係性が生まれる。これはまるで、「小公女」で、落ちぶれたセーラに最後まで尽くした使用人・ベッキーみたいだ。
今日の、わろ点
「どす」「どす」言う京ことばがうっとおしいと女中のスミ(楠見薫)に注意され、仕方なく「だす」と言い直したりするてん。
みんな大好き、京ことばをディスるなんて!
「どす」でも「だす」でもどっちでもいいじゃないかと思う関東人ですみません。
(木俣冬)