芳根京子のはっちゃけ方がすごい

ポップなテイストのコメディドラマで、主役は筋金入りのオタク女子。
芳根京子で大丈夫?
キャスト発表時そう思った。
2014年に映画化されており、(Amazonプライムにて配信中
「海月姫」)
主演は能年玲奈(現・のん)。NHK朝ドラ「あまちゃん」でのコメディエンヌとしてのイメージも強く、実際この映画も原作のイメージ通り。
一方、芳根京子。NHK朝ドラ「べっぴんさん」主演。落ち着いた、おとなしいイメージが強い。
ということで、すみません、正直「芳根京子で大丈夫?」なんて思っていたんですが。
ちょっと!!ねぇ!!すごいよ!!!!!!
すみませんでしたー!!芳根京子、すごいです。
特に「クラゲ展」を見るために渋谷へ行ったシーンがすごかった。
おしゃれな街・おしゃれな人々が集う渋谷で、自己評価が異常に低い月海(芳根京子)はまっすぐ歩くことすらできない。東村アキコのコミックというより、ここまで行くと岡田あーみんコミックの挙動不審さだ。
そんなコミカルなシーンでありながら、芳根京子のふとした表情に月海のコンプレックスが感じられ、心がギュッと痛くなった。
女装男子・蔵之介を演じる瀬戸康史も美しい。
木南晴夏、松井玲奈、内田理央、富山えり子ら「天水館」に住むオタクたちも、知らずに見ていたら「えっどこに出てた?」と思うはず。
コミックスのおまけ漫画を読むと作者の東村アキコも濃いオタク(クラゲ、陸上選手)であることが分かった。現時点、オタク=気持ち悪い、という図式で描かれてしまっているが、ネタ振りだと信じたい。オタクから綺麗な女の子になってめでたしめでたし、なんて単純な話ではなく、夢中なものがあるオタクってすてき、自信がつけばさらにすてき、という描かれ方になると良いなぁ。
1話あらすじ

クラゲオタク・月海。
近所の熱帯魚店のタコクラゲ(勝手に「クララ」と名前までつけている)を眺めていたところ、タコクラゲと一緒にしてはいけないミズクラゲが同じ水槽に入っていることに気付く。
店員に注意しようとするが、「男」で「おしゃれ」な店員にビビってしまい挙動不審に。(クラゲのことをマシンガンの如く話し始めるシーンはテレビ東京「SICKS」のコント同人作家マユ(清水富美加)とリコ(中島早貴(℃-ute))を彷彿とさせるものがあった。)
コミュニケーションが取れず店を追い出されたところに美女(瀬戸康史)が現れ、月海を助けてくれる。
クラゲを買い、月海の住む「天水館」へ。
美女はそのまま強引に月海の部屋に泊まる。目が覚めたところで、じつは女装した男子・鯉淵蔵之介(瀬戸康史)だったことが判明!
「天水館」は男子禁制の尼寺のようなシェアハウス。住人全員がオタク(原作では「腐女子」と表現)。
男子もおしゃれ人間も苦手な月海は「もう来んでください!」と追い出すが、その後蔵之介はけろっとした表情でちょくちょく来るようになる。
実は蔵之介、近所に住む政治家の息子だった。
ぐうぜん帰ってきた蔵之介の弟、修(工藤阿須加)を見て月海は一目惚れ。
(ちなみに原作では蔵之介→弟、修→兄。放送後ツイッターで原作ファンが「なんで変えるんだよ、シュウシュウは兄なのに恋愛には奥手っていうところが良いのに」といった声が上がっていた。しかし、キャストの年齢に合わせて変えたとか単純なことではないはず、ドラマに深みや痛みを与えるために意図していると推測。女装して親の職業を継ぐ気がない男子は次男よりも長男の方が痛々しい。)
月海の淡い恋に気づいた蔵之介は「魔法をかけてあげる」と月海をメイクアップ。
メガネを外し、可愛いワンピースを着せる。
「昔、ある人が言ってたんだ。女にとって服は外で戦うための鎧。メイクは自分を変身させるための魔法。
女は誰だって変わることができる。みんなお姫様になれるんだってな」
良い。服やメイクアップは「マナーだから」とか「男にモテるため」とかではなく、自分に自信をつけるため、という考え方。蔵之介はファッションに対してしっかりした考えを持っている。
月海の脳裏に、亡くなった母の言葉が浮かぶ。
「月海。女の子はね、大きくなったらみんなみーんな綺麗かお姫様になれるんだよ」
メイクとドレスアップを終え、美しく可憐に変身を遂げた月海。
メガネを外すと以外と美人!!…というのは少女漫画コテコテの展開だが。
卑屈な性格がそう一気に変わるはずもなく。
しかしこの変身した月海を見て、修も一目惚れ(ここも少女漫画的)。
だが修は月海だと見抜くことができない。あーもー。
後日、蔵之介は月海と修をくっつけようと水族館へ誘い、3人で出かける。
着物でドレスアップした月海を見て、修はやっぱりオタクの月海だと見抜くことができない。あーあー、もー。
クラゲを見て亡くなってしまった母を思い出した月海。
「月海が大きくなってお嫁に行くときは、こんクラゲみたいな真っ白かウエディングドレスを作ってあげんとね」
という母の言葉を思い出しながら
「おかあさん、ごめんなさい。私はお姫様にはなれませんでした」
と思わず涙をこぼす。
「大丈夫。
月海を抱きしめる修を見て、複雑な表情の蔵之介。
さて今夜二話。
ドラマキャッチコピー「ドラマ史上、いちばんややこしい三角関係」のスタート。
コミックスでは1巻が終わったあたり。FOD見逃し配信もあるよ。
海月姫 フジテレビ系 よる9:00
【キャスト】
芳根京子/瀬戸康史/工藤阿須加/木南晴夏/松井玲奈/内田理央/富山えり子/泉里香/安井順平/要潤/床嶋佳子/北大路欣也
【脚本】徳永友一(「HOPE~期待ゼロの新入社員~」「嫌われる勇気」「僕たちがやりました」)
(イラストと文 まつもとりえこ)