第21週「ちっちゃな恋の物語」第119回 2月22日(木)放送より。
脚本:吉田智子 演出:東山充裕

119話はこんな話
マーチン・ショウの成功を信じて、てん(葵わかな)たちが企画をすすめる中、隼也(成田凌)とつばき(水上京香)の恋が暗礁に乗り上げて・・・。
負けへん勝負
はりきってプレゼンしたものの、共同出資が期待できず、栞(高橋一生)は自分の会社・伊能商会で資金を出すと言い出す。だったら、北村笑店も出資するとてん。
マーチン・ショウは絶対当たると強気な栞に「負けへん勝負やったらのらなしゃあない」と風太も覚悟を決める。
その頃、文芸部では、まだ25年史を編纂中で、楓(岡本玲)は、社史の最後は「マーチン・ショウ公演 大成功」としようと前向き。
「うちら作家は 言葉で夢を生み出すんが仕事だす」
「信じる力が成功を生むんや思います」
そう矜持を語る。
“言霊”というのがありまして、
例えば、お祈りするとき、「〜〜しますように」ではなく、「〜〜します」「〜〜しました」と叶った前提にしてしまうほうが叶いやすいというのも、言霊の考え方にもとづいているものと思われる。前向きなのはいいことだが、思い込み過ぎることには注意したい。
恋の迷い路
隼也とつばきの仲は、マーチン・ショウの話題を通じて、いい感じだったが、あるとき、急につばきが冷たくなり、「さよなら」と意味深に言って去って行ってしまった。
隼也は渡そうと思って用意していた贈り物を渡せないままに・・・。
そんなことになっているとはつゆ知らないシローは、隼也に贈り物の次の手を聞いて、リリコ(広瀬アリス)をデート(飯に)誘うが撃沈。
2組ともそろって恋がうまくいかないのであった。
そして、突如、つばきが雨のなか立ち尽くしていて「結婚するんです」と隼也に告白。
「さようなら」と言って去ってから、その間5分!
雨がしとしと、カミナリごろごろで、不穏感が最高潮へ。
許婚の呪縛、再び
ずぶ濡れで、家につばきを連れてきて、てんを驚かす隼也。
つばきは中之島銀行の頭取の長女で、婿をとって家を継がないとならない。
家どうしの結びつきのための政略結婚を間近に控えていながら、隼也と会って心が揺れてしまったようだ。
藤吉に似てる似てると言われる隼也、またまた、藤吉と同じ、家同士の結婚を控えたお嬢様に恋するところまで似ているという趣向。
3人が深刻な顔をしているとき、風太がやって来て、
「え。何があったん」とあわあわ。で、つづく。
なにかとお邪魔虫みたいな存在感の風太ではあるが、
仏壇のある部屋の棚には、大昔、風太が隼也の5月の節句に買ってきた五月人形が飾ってある。
藤吉がちっとも兜を買って来なくててんが怒ってるときに買ってきたものだ。
風太も大事な家族なのだ(いまは、父代わりと思ってがんばってるし)
引きのカットが多かったわけ
119話は、俯瞰のカットが多用され、登場人物たちがどんなところにいるかがわかる回だった。
まず、いつもの北村笑店の客間。
上から撮ることで、中庭に飛び石があることがわかる。いつも、平坦な撮り方で、人物の背景に庭木があるという認識しかなかったが、風景がすこし立体的に感じられた。
つぎに、隼也とつばきがよく使う喫茶マンハッタンから外に出てくる場面。
ふたりが階段を上がってくるので、カフェは少し低いところにあるようだ。
飛び石などは前から出てきていたかもしれないが、今回、改めて注目してしまったのは、なぜかたっぷりめに映っていたから。それは119話では俳優が台詞をかけあう場面が少なめで、時間が余ってしまったため引きのカットを挿入するよりほかなかったのかなという気がした。
長丁場のドラマなので、そんなときもあるだろう。撮影が相当大変という朝ドラには、ときどきそういうことを感じることがあり、そこも含めて味わっている。
でもきっと最後は「『わろてんか』の大成功」(断定形で)。
(木俣冬)