連続テレビ小説「わろてんか」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第23週「わろてんか隊がゆく」第131回 3月8日(木)放送より。 
脚本:吉田智子 演出:川野秀昭
「わろてんか」131話「ひよっこ」を思い出す「日がな一日おしゃべりしてるだけ」それが幸せ
イラスト/まつもとりえこ

131話はこんな話


わろてんか隊の面々は、前線に向かう兵隊たちから内地の家族や恋人への手紙を託される。
風太(濱田岳)は激怒するが・・・。


色気のない高座でいいのか


若い兵士(山田俊)から手紙を受け取ったリリコ(広瀬アリス)。
それは大阪に残した恋人へのものだった。
それを手にして、こんな色気のない高座をやっていていいのか、省みる。
「リリコの負けん気がむくむくと湧いていました」(ナレーション・小野文惠)と、
飾ってあった花を頭に飾って、急遽、新作を万丈目(藤井隆)に頼むと、いきなりそれを披露。
兵隊たちの顔は輝くが、阿久津少佐(八十田勇一)の表情は険しく、中断を言い渡される。

リリコだけでなく、万丈目もキースもアサリも兵隊たちから手紙を預かっていた。
責任者である風太(濱田岳)はそれを許さない。
えらい人ににらまれたら大変ですから。ほんとに風太は損な役割だ。

戦争は本格化


戦況は悪化していく一方であったが、報道では日本の良いことしか伝えない。
と、ナレーションでちくりと。

栞(高橋一生)の会社も、戦争によって、不動産やデパート経営の状況はよろしくない。
映画に関しても進退を考えるところに来ていた。
「大きな流れにはさからえん世の中なのかもしれません」と山下(玉置孝匡)は心配する。


なんでもない普通の映画が作りたかったのにそれが難しくなってきたことを感じる栞。
弱気の虫が出て、藤吉の仏壇に参りに来た。
思い立ったら突っ走っていた藤吉の純粋さに憧れる(まあ、時代が違うんでね・・・)。

内場勝則もイケメン枠としたい


与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」をネタに入れる楓と、
そんなときでも笑いにしてしまう亀井(内場勝則)。人生観の違いがあらわになる。

「暗そうな話でも笑えまっしゃろ」
内場勝則には説得力が。「わろてんか」の希望の星である。
顔が良い人より、おもしろい人がモテるってこういうことなんだろう。もっとも内場は顔もいい。出てきたときは役としてしょぼくれていたけれど、いまは落ち着いて素敵な老人(老人には見えないけど)に。内場勝則もイケメン枠か。

と、ここで「わろてんか」イケメン枠をまとめておく。

内場勝則、大野拓朗、高橋一生、千葉雄大、成田凌、松坂桃李(50音順)

ここにもカップルが


戦地に来て、前線に出ていく兵隊を見て、死について考えるキースとアサリ(大野拓朗、前野朋哉)は、死ぬまで一緒に漫才をやりたいと考える。
「やっぱりお前がええ」(キース)。

告白みたいでした。

女房を一緒に連れてきてしまったことを後悔する吉蔵に、歌子はしみじみ言う。
「日がな一日おしゃべりしてるだけのことがどんなに幸せなことかようわかった」

「日がな一日おしゃべりしてるだけ」だったのは、前作「ひよっこ」。
とりわけ、後半戦は、おしゃべり回が増えていた「ひよっこ」だが、それこそが平和の象徴だったのだと思う。
笑ったり、恋したり、おしゃべりしたり、イケメンを愛でたり。毎日がそんなふうでありますように。

ついに風太も


兵隊たちの手紙を眺めながら、トキ(徳永えり)たちに思いをはせる風太。
彼も任務で怒っているだけで、人情は人一倍。ついに、手紙は自分がまとめてもって帰ると決め、
最後の慰問公演で、リリコたちに自由にやっていいと許可する。
いろんな人達の思いのスケッチが並んで、みんなの気持ちがひとつにまとまって、高まって・・・という、脚本家にとって手慣れた娯楽映画のクライマックスの脚本の手法で盛り上げる。栞がつくりたい「なんでもないふつうの娯楽映画」っていうのもきっとこういうものであろうと想像する。それでええねん。


明日(132話)はまだ金曜日だが、土曜日は藤吉デーになってしまった昨今、恒例、芸の披露は金曜日に前倒しになったのだろうか。
(木俣冬)
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